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【マンタの聖地】マンタの生態と石垣島ダイビングの魅力
日本最南端の街である「石垣島」は、ダイバーには日本で最も人気のあるエリアとして知られており、毎年ダイビング雑誌の人気投票でも10年以上連続して1位を獲得しています。
また、5年前に新空港が開港してからは、観光客が大幅に増加し、旅行会社では飛行機とホテルだけのツアーだけでなく、ファンダイビング付きの石垣島ツアーを多数開催しています。
石垣島は、那覇から飛行機で約1時間の場所にあります。最近では本土との直行便も増え、さらに新しい空港が近年オープンしたことから、ダイバーもよりアクセスがしやすくなりました。 [sitecard subtitle=日本で最も人気の高い離島[…]
石垣島が、ダイバーに人気になっているのは、日本最大のサンゴ礁域で日本のサンゴの故郷と言われている石西礁湖があったり、充実したアフターダイブが楽しめたりと、その理由はいくつもありますが、一番の理由はマンタが高確率で見られるためです。
世界にはマンタが見られる地域は、数多くありますが、その中でも石垣島でのマンタ遭遇率は世界でも指折りと言われています。
この記事では、主に以下の3点をご紹介します。
- そもそもマンタとは、どんな生き物?
- 石垣島でマンタが見られるポイント3選
- マンタを観察する上での注意点
1.マンタってどんな生き物?
マンタの姿からエイの仲間であることは知っていると思いますが、何を食べていて、どのような生活をしているかは、ほとんどの人は知らないのではないでしょうか。
まず、マンタと呼ばれる生物の正式名は、オニイトマキエイと答える人が多いと思います。しかし、2010年に日本では1種類とされていたマンタは、実は2種類いて、オニイトマキエイとナンヨウマンタの2種類に分かれました。
背中の模様をよく見ることで、オニイトマキエイとナンヨウマンタを見分けることはできますが、ダイビング中にどちらかを判別することは、ほとんど不可能です。
従来からの名称であるオニイトマキエイは、外洋性のマンタで、ダイビングを行うサンゴ礁域や陸地の近くではあまり見られない種類です。そのため、石垣島のダイビングポイントに現れるマンタは、ナンヨウマンタでほぼ間違いありません。
この記事では、オニイトマキエイもナンヨウマンタも両方ともマンタと呼んでしまうことにします。
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マンタは、プランクトン食なので大きな歯を持っていません。海水浴場でエイを踏んでしまって、しっぽの根本にある毒針でケガをしたという、ニュースを見ることがありますが、マンタの毒針は退化していて、毒針にやられることはありません。
石垣島でマンタが集まってくるポイントは、マンタが食事をしにくるのではなく、体についた寄生虫をホンソメワケベラなどの生物に食べてもらう(クリーニング)ために、集まってくると言われています。
クリーニングする魚が多数生息していて、マンタが集まってくる場所をクリーニング・ステーションと呼んでいます。
マンタの口の前にあるヒレは、頭鰭(とうき)と呼びますが、普通に泳いでいるときには巻いていて垂れていません。クリーニング中のように気持ちがいいときには、だらんと垂れ下がります。
マンタの頭鰭を見てみると、巻いていれば泳いでどこかにいってしまうし、垂れ下がっていればグルグルとその場を回っていてくれることを知ることができます。
2.石垣島でマンタが見られるポイント【3選】
石垣島でマンタが見られるポイント①マンタスクランブル
石垣島をマンタの聖地とした伝説的なポイントが、石垣島北部の川平にあるマンタスクランブルです。
これまで沖縄方面でマンタが見られるポイントと言うと、小浜島や慶良間諸島が有名でした。それらで見られるマンタは、通りすがりになるので、長時間見ることはできませんでした。
1990年頃に、マンタスクランブルが地元のダイビングショップによって発見されましたが、こちらのマンタは寄生虫をクリーニングしてもらうためにやってくるため、根の上をぐるぐると回っているため、長時間見ることができます。
さらに運がよいと、単体ではなく、何枚ものマンタに囲まれるなんて、夢のようなダイビングになることもあります。
マンタスクランブルのマンタが見られる場所は、深度も浅く流れもないため、ライセンスを取得したばかりの初心者から潜ることが可能です。
ダイビングショップによっては体験ダイビングで、マンタスクランブルに入ることもあります。スキューバダイビングではなく、シュノーケルでマンタを見にくるショップもいるほどです。
シュノーケルはライフジャケットをつけて、水面からマンタを見るだけに限られているため、スキンダイビングのように素潜りでマンタの近くにいくことはできません。
マンタスクランブルには、マンタが集まる根がいくつかあるため、水中ガイドは今までの経験と、ダイバーの集まり具合を考慮して、根を移動することがあります。根と根の間は中層を泳ぐことになるので、中性浮力が取れて、しっかりとフィンキックができた方がよいでしょう。
ダイビングポイントのマンタスクランブルは、マンタを見ることが主な目的ですが、実は地形も面白いのです。根の下がアーチになっていたり、トンネルになっていたりしていて、暗いところから幻想的な青い海を見ることができます。
トンネルを通過しているときにマンタが出てしまうと、もったいないと感じますが、トンネルからタイミングよくマンタが出現してくれると、大興奮のダイビングになるでしょう。
石垣島でマンタが見られるポイント②マンタシティ・ポイント
夏の南風になる時期には、マンタスクランブルに多くのダイビング・ボートが集まり、1組だけで貸し切りになることはまずなく、10隻以上のボートが集合することも珍しくありません。
後述するようにマンタの居心地が悪くならないように、注意点を守ってダイビングをしていても、マンタはダイバーが多すぎるのを嫌がってしまうのか、マンタスクランブルでのマンタ出現率が低下しています。
そこで2010年頃にマンタスクランブルの、すぐ西側の地点に新たなマンタポイントが発見されて、マンタシティ・ポイント(通称MCP)と名付けられました。
マンタシティ・ポイントにマンタが集まる根は1つだけなので、マンタスクランブルよりも動かないで、マンタをじっくり見ることができます。根が1つしかないということで、最大5隻までのボートしか潜れないという、約束事が決められています。
石垣島でマンタが見られるポイント③その他
マンタスクランブルもマンタシティ・ポイントも石垣島の北にあるダイビングポイントのため、北風が吹く秋から冬の時期は、海が荒れてしまい、潜りにいくことができない日が多くなります。
北風が吹くシーズンでは、マンタスクランブルやマンタシティ・ポイントのように、高確率でぐるぐると回るマンタを見ることはできませんが、プランクトンを捕食に来るマンタに会える可能性があります。
石垣島周辺でマンタが見られるダイビングスポット①黒島の南側
石垣島の市街の港からだと、川平に向かうよりも短時間で到着することができ、冬場にマンタが見られるポイントとして有名です。
特に、満潮から干潮に向かう時間帯は、黒島の近くに集まったプランクトンが外洋に水路を通って出ていくため、それを狙ってマンタが集まってきます。
マンタが出なくても、グルクンなどの小魚が集まり、小魚を狙ってロウニンアジなどの回遊魚が集まってきますので、十分楽しめるポイントです。黒島で見られるマンタは水面付近でプランクトンを食べているので、シュノーケルの人も近くで見られるメリットがあります。
石垣島周辺でマンタが見られるダイビングスポット②竹富島の南側
北風の時期には、市街の港からも近い竹富島の南側でも通り過ぎるマンタを見られることがあります。
3.マンタを観察する際の5つの注意点
石垣島のダイビング業界にとって、もしマンタが来なくなってしまうと、死活問題となってしまいます。そのため、マンタを観察する上では、いくつもの注意事項が定められています。
実際にマンタスクランブルでは、10年前には80%以上の確率で、マンタを見ることができましたが、今では50%以下に落ち込んでいると言われています。
マンタを観察するときには次の「5つのルール」を守るようにしてください。この5つは決して難しいスキルではありませんので、心がけで守ることができることです。
①マンタに触らない
②マンタを追いかけない
③マンタの根に登らない
④マンタに泡を当てない
⑤マンタが出ても音を出さない
マンタを観察する注意点①マンタに触らない
マンタに関わらず、フィッシュ・ウォッチングをするときの最も基本になるのは、生物に触らないということです。魚は変温動物で、人間よりもずっと体温が低いので、人が触ると、熱さという大きなストレスを受けます。
小さな魚だけでなく、大きなマンタであっても同じことですので、決して手が届くところにマンタが来てくれたとしても、触らないことを約束してください。
マンタを観察する注意点②マンタを追いかけない
大きなマンタですが、得体の知らないダイバーに追われたら逃げてしまうものです。逃げるだけで戻ってきてくれれば良いですが、二度とその場所に帰ってきてくれないかもしれません。
何よりも優雅にゆったりと泳いでいるように見えるマンタであっても、普通に泳ぎ始めたら、ダイバーは絶対に追いつくことはできません。
マンタを観察する注意点③マンタの根に登らない
マンタが来るのを待つときも、マンタを観察するときも、必ず根に掴まって見るようにしてください。根の反対側にマンタが行ってしまったときには、中層に上ってマンタを見たいと思うものですが、マンタなどの魚のほとんどは同じ水深にいるものに恐怖を感じてしまいます。
マンタがクリーニングをしてもらっていて、頭鰭がだらんとなっている状態になっていれば、反対側に行って見えなくなったとしても、すぐに戻ってきてくれるので、根を登らずに、その場で待つようにしてください。
マンタを観察する注意点④マンタに泡を当てない
マンタが根の上でクリーニングを受けているときには、こちらから近づかなくてもマンタが頭上を通ってくれることがあります。マンタの住む世界には、泡という存在はありません。マンタの体に泡が当たると、ストレスを感じて、クリーニングされることを止めて、どこかに行ってしまいます。
ダイビングの講習を受けたときには、「呼吸を止めない」ことを強調されたと思いますが、ライセンスを持っている人であれば、「息を吸っている状態で浮上してはいけない」ことを理解していると思います。
根に掴まっている状態で浅くいかなければ、肺の過膨張障害の危険性は全くありません。もし、幸運にもマンタが頭上に来てくれたら、泡を当てないように息を止めてマンタをやりすごしてあげてください。
マンタを観察する注意点⑤マンタが出ても音を出さない
マンタを見つけたら、他の人に知らせるためにブザーやベルを使って周りの人に教えようと思いがちです。マンタは大きな音を嫌がりますので、静かにマンタを観察するようにしてください。
マンタを見つけたヒーローのつもりで、リンリンとベルを鳴らしたら、逆に周りから白い目で見られることになりますので、大人しくしていましょう。
マンタと石垣島ダイビングのまとめ
いつまでも石垣島でマンタが見られるように、ダイビング前のブリーフィングをしっかり守ってマンタを観察しましょう。
また、石垣島のダイビングは、マンタだけが見ものではありません。ウミガメが高確率で見られたり、日本のサンゴ礁は絶滅の危機に瀕しているとされていますがありますが、石垣島にはまだピッキピキで元気な枝サンゴが美しいポイントが残されています。マンタだけに拘ることなく、多彩なポイントのある石垣島のダイビングを楽しんでください。
石垣島は、那覇から飛行機で約1時間の場所にあります。最近では本土との直行便も増え、さらに新しい空港が近年オープンしたことから、ダイバーもよりアクセスがしやすくなりました。 [sitecard subtitle=日本で最も人気の高い離島[…]