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マクロ天国だけじゃない!西伊豆「黄金崎」ダイビングの魅力
西伊豆のほぼ中央にある黄金崎は、あの昭和天皇が御幸されたときに、あまりの景色の美しさに、滞在時間を延長されたほどの景勝地です。ちなみに「黄金崎」の読み方は、「おうごんざき」ではなく、「こがねざき」です。
その名のとおり、黄金崎特有の黄色い岩(プロピライトと言う天然記念物)に夕日が当たり、黄金色(こがねいろ)に輝くことから、黄金崎と名付けられたとされています。
この記事では、初心者ダイバーから、大きなカメラを抱えたベテラン・フォト派ダイバーまで魅了する、黄金崎の人気の理由、それに会いたい生物、そして黄金崎で楽しめるダイビングスタイルについて記載していきます。
1.黄金崎ってどんなダイビングスポット?人気の理由【4選】
黄金崎のダイビングスポットの正式名称は、黄金崎公園ビーチ(少し短縮して黄金崎ビーチ)です。すぐ隣のダイビングスポット「安良里(あらり)」のボートポイントに、黄金崎というポイントがありますが、めったに潜ることがないので、黄金崎といえば「黄金崎公園ビーチ」と思って間違いありません。
黄金崎は、大瀬崎や井田と同じ西伊豆にありますが、大瀬崎などよりも南にあるため、片道1時間ほど余計に時間がかかるところにあります。しかし、多くのダイバーが時間をかけてでも訪れる黄金崎の人気について、主に4つあげてみます。
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黄金崎のダイビングが人気の理由① 写真映えする豊富な生物
黄金崎は、オープン・ウォーター・ダイバー・コースや体験ダイビングでも使われるように、穏やかな海況になることが多いダイビングスポットです。しかし、カエルアンコウやタツノオトシゴの仲間などの人気生物が定着しやすい水中環境と、ダイビングセンターのスタッフが毎日一生懸命生物探しをしていることもあって、可愛い生物がたくさん見つかります。
生物によっては、ミリ単位の生物もいますが、写真にすると鮮やかな配色をしていたり、可愛らしい表情をしていたりと、フォト派ダイバーに人気の高いポイントです。
穏やかであることと、水深が深くないこともあって、時間をかけて写真撮影することができるとともに、初心者ダイバーや体験ダイバーでも、めったに見られないアイドルフィッシュが見られることで、羨ましがられることも多いのです
黄金崎のダイビングが人気の理由② 雨でも安心の使いやすい施設
「雨が降ったら、黄金崎!」と言われることがあるほど、黄金崎は雨に強いダイビングスポットのひとつです。
大きな屋根のある休憩施設の回りにエントリー口、器材洗い場&干場、トイレがコンパクトに配置されているので、雨や炎天下のときでも使いやすい施設が配置されています。
また、黄金崎の近くには大きな川がないので、泥水が流れ込みにくいことも、雨の時に黄金崎が重宝される理由になっています。
このような理由から、梅雨時期や秋の長雨の時期は、風が東寄りということもあり、東伊豆に潜る予定だったダイバーが、数多く穏やかで雨に強い黄金崎に流れてくるのです。
黄金崎のダイビングが人気の理由③ エントリーとエキジットがラクチン
黄金崎は、ビーチダイビングなので、波があると出入りに苦労します。黄金崎のエントリー口は、コンクリートで舗装されていて、両サイドにロープがあるためフィンの脱ぎ履きがしやすいと評判です。
伊豆半島は、南風が強く吹くとウネリが上がってきやすいのですが、黄金崎の海は北を向いているので、南からのウネリが入りにくい特徴があります。それでもウネリが入る場合には、休憩施設前のエントリー口にウネリが入る場合でも、より陸地側(東側)のエントリー口は更にウネリに強く出入りがしやすくなっています。
そして、器材をセッティングしたところから、ほとんど歩かずに海に入ることができるので、疲労感を感じずに潜ることができるのも嬉しいところです。
黄金崎のダイビングが人気の理由④ 癒やされる風光明媚な景色
ダイビングは、日常生活を離れた自然の中で、心身ともにリラックスできる癒やしのレジャーです。自然豊かな海に来たというのに、人工的なものを見たり、聞いたりすると、せっかくの気分が台無しになってしまいます。
黄金崎は、国立公園に指定されている景勝地なので、素晴らしい景色を見られますし、ダイビングエリアに入るには、岡の上にある駐車場に車を停めて、ダイビングセンターの車に迎えにきてもらうので、車の走る音もほとんど聞こえません。
休憩施設のデッキのチェアーで、ぼーっと海を見たり、「黄金崎の湯」と名付けられたダイバーが温まれるお風呂は、絶景の露天風呂です。
2.黄金崎で見たい人気のマクロ生物【5選+番外】
伊豆でマクロ生物というと、ウミウシ!となることが多いですが、黄金崎はそれほどウミウシが多いダイビングスポットではありません。ウミウシを狙うなら、黄金崎から近いところならば、田子や浮島や雲見に行きましょう
それでも黄金崎は、ダイバーに人気のある生物が次々見つかります。黄金崎でよく見られる人気のマクロ生物を5種類紹介していきます。
黄金崎で見たい人気のマクロ生物①カエルアンコウの仲間
ぶさ可愛い魚らしくない姿で、テレビでもよく取り上げられ、ダイバーにも特に人気が高い生物が、カエルアンコウの仲間です。黄金崎では、ベニ・イロ・オオモン・クマドリの4種類のカエルアンコウが多く見られ、ほとんどの個体のサイズは3cm以下で、とてもかわいいと評判です。
砂地で見られるTheカエルアンコウは多くありませんが、ヒメヒラタカエルアンコウやカエルアンコウモドキといった、超レアなカエルアンコウが見つかったこともあります。
黄金崎で見たい人気のマクロ生物②タツノオトシゴの仲間
水族館での人気も高く、ダイバーでなくてもその存在がよく知られているタツノオトシゴの仲間も黄金崎には、多く生息しています。最も良く見られるハナタツをはじめ、イバラタツ、サンゴタツ、オオウミウマなどの種類が見られます。
黄金崎で見たい人気のマクロ生物③ネジリンボウ
ネジリンボウは、砂地でテッポウエビの仲間と、共生しているハゼの仲間です。横から見ると白と黒のストライプがねじれているように見える(実際はねじれていない!)ことから、ネジリンボウと名付けられています。背びれが長いヒレナガネジリンボウもいます。
ネジリンボウは、他のダイビングスポットでは、ほとんど見つからない生物ですが、黄金崎では水温が低い時期を除けば、ほとんど見ることができます。危険を感じると、エビが掘った穴に逃げ込んでしまいます。すると30分は姿を現さないので、観察するときには、着底して匍匐前進をするように、ジワジワと近づいていけば、より近くで見ることができます。
黄金崎で見たい人気のマクロ生物④南方系の幼魚
毎年秋になると、黒潮に乗って流されてくる南方系の幼魚が、伊豆半島に流れ着いてきて、水温が下がる冬の終わりまで、鮮やかでかわいい姿を見せてくれます。黄金崎は、幼魚が隠れやすいゴロタや海藻が多いので、他のダイビングスポットよりも多種類の幼魚を見ることができます。
黄金崎で見たい人気のマクロ生物⑤河のように流れる魚群
黄金崎は、ビーチダイビングなので、群れを期待しない人が多いですが、サイズは大きくないもののゴロタ上や、ゴロタと砂地の境目では、ネンブツダイやクロホシイシモチといったテンジクダイの仲間は一年中群れています。また、夏頃からはイサキやスズメダイが河のように流れており、カンパチやイナダといった回遊魚の姿も頻繁に見ることができます。
黄金崎で見たい人気のマクロ生物⑥(番外編)マダイのだいちゃん
これまでは、人気のマクロ生物や群れる小魚を紹介してきましたが、エントリー口近くの浅場には、通称「だいちゃん」と呼ばれる大きなマダイがダイバーに近づいてきます。どうやら「だいちゃん」は1匹だけでなく、3匹ほどいるようです。
大型台風が何度も通過した後でも、元気な姿を見せてくれているので、これからも楽しませてくれることでしょう。
他にもメガネウオ、カスザメ、ウミテング、ハンマーヘッドシャークが出たこともあるので、黄金崎では多くのアイドルフィッシュを見ることができます。
3.黄金崎で楽しめるダイビングスタイル【4選】
黄金崎では、普通のファンダイビングとして、フィッシュ・ウォッチングや水中写真も楽しめますが、幅広いスタイルのダイビングをすることができます。黄金崎で経験できるダイビングスタイルについて、主に4つあげてみます。
黄金崎で経験できるダイビングスタイル①セルフダイビング・ナビゲーション
PADIオープン・ウォーター・ダイバー・コースや、他団体の同等クラスのライセンスを取得していれば、水中ガイドをつけなくても、潜ってもよいことになっています。ただ、海中はどのように回ったらよいかわからないし、迷ってしまったら怖いと、なかなかガイドをつけずに潜るセルフダイビングにチャレンジできないのではないでしょうか。
しかし、黄金崎は手前がゴロタで、沖が砂地という単純な地形をしているので、行きは砂地を右手に見ながら進み、帰りは砂地を左手に見ながら帰ってくれば迷うことなく、戻ってくることができます。
迷いやすい砂地には、ケーソンと呼ばれるコンクリートブロックがあり、その間をロープで繋がっている上に、ロープの根本に行き先を書いてくれているので、迷う心配はほとんどありません。
最大水深でも18m位で、水深変化も少ないことから、安心して潜ることができます。たまに、流れが入ってくることがあるので、沖に出される流れを感じたときには、沖に出しすぎないように注意が必要です。
さらに、ダイビングセンターでは、ダイビングマップを使って、詳しく生物の居場所を教えてくれたり、レベルに合わせた回り方までしっかり教えてくれます。また、ラミネート加工されたダイビングマップを貸してくれるので、ダイビング中に現在地を確認することも可能です。
いたせりつくせりの環境や手助けをしてくれるので、はじめてセルフダイビングにチャレンジするのに最高の環境が整っています。また、水深10m位で水深変化の少ない砂地が広がっているので、コンパス・ナビゲーションの練習するのにも、最適なポイントです。
黄金崎で経験できるダイビングスタイル②中性浮力の練習
ダイビング初心者にとって、中性浮力をマスターすることは、非常に大切なことです。普通にダイビングをしていても、徐々に中性浮力が取れるようになってきますが、集中的に練習することができれば、レベルアップ速度は飛躍的に上がります。
黄金崎には、砂地の浅いエリア(エントリー口の東側)にフラフープがぶら下がっているところがあるので、中性浮力の練習ができます。ダイビングの最後に寄ってみてはいかがでしょうか?
黄金崎で経験できるダイビングスタイル③ナイトダイビング
黄金崎では、5月中旬から9月中旬の土曜日限定で、ナイトダイビングを行うことができます。エビ・カニが大量発生して、イセエビの大行進なんて場面に出くわすこともありますし、ヒメヒイラギという発光する魚が見られることもあります。
ナイトダイビングができる日には、朝から最終エキジットの20:30までずっと潜ることができるので、サンセットダイビングも楽しめます。昼間とは違うダイビングを経験してみてください。
黄金崎で経験できるダイビングスタイル④洞窟ダイビング
黄金崎のダイビングエリアの最も遠いところには、黄金崎ドーム(または黄金崎ホール)と呼ばれる水中洞窟があります。最も遠いといっても、浅いところを通っていけば、エアの心配もないですし、フィンキックがきちんとできるレベルであれば、余裕で行くことができます(流れがあったり、ウネリがあるときは注意が必要です。時間配分を考えても、ガイドと一緒に潜った方が無難です)。
黄金崎ドームは水中からホール内に進入しますが、洞窟の奥は水面まで浮上することができます。水中からの青い景色とともに、水面での間接光も幻想的です。ビーチダイビングで洞窟ダイビングができるダイビングスポットは、伊豆では他に富戸くらいしかないので、貴重な体験になるので、ガイドにリクエストを入れて潜ってみましょう。
黄金崎のダイビングまとめ
黄金崎の魅力について記述してきましたが、いかがでしたでしょうか?陸上の美しい景観、人気の生物、使いやすい施設、豊富に楽しめるダイビングスタイルと黄金崎には、ただ潜るだけではない、たくさんの魅力があることをわかってもらえたと思います。
黄金崎には日帰りで潜りにいくことはもちろん可能ですが、水深が深くないこともあって、日中に3本、そしてナイトで1本のように1日に4本潜ることも可能です。西伊豆にはおいしい海鮮料理が食べられる民宿や旅館がたくさんあるので、泊まりで潜りにいってみるのもいいと思います。
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