ダイビングにドルフィンスイムも楽しめる三宅島の魅力を解説
伊豆諸島の一つの三宅島は、噴火活動が活発な火山島で、50年に1回位の頻度で大きな噴火があります。最近では2000年に住民全員が三宅島から避難した噴火があり、2005年に避難指示が解除され、島民と観光客が戻ってきました。
三宅島というと噴火や火山についてのニュースが多く、観光スポットも噴火に関するスポットが多いのが事実です。しかし、日本の南を通る黒潮の影響や、火山活動による複雑な地形が海にまで続いていることによって、透明度が高く、多種多様な生物が生息しているとして、ダイバーに人気が高い離島でもあります。
この記事では、以下の4点についてご紹介していきます。
- 三宅島への行き方
- 三宅島のダイビングが人気の理由【5選】
- 三宅島でのダイビングスタイル
- 三宅島を拠点にしたドルフィンスイム
目次
1.三宅島への行き方
三宅島は、東京から真南に約180kmの距離にあります。180kmという距離は、東京都心から東名高速で静岡ICまでとほぼ同じ距離なので、離島というと遠いイメージから、思ったよりも近いところに感じるのではないでしょうか。
もちろん三宅島は本州から離れた島なので、アクセスは自動車や鉄道ではなく、フェリーまたは飛行機を使わなければ、行くことはできません。
飛行機はわずか50分の搭乗で、三宅島に到着することができるメリットはありますが(フェリーでは6時間半)、下記の点から、大多数の人はフェリーを使って、三宅島に行っています。
- 東京の調布空港と三宅島空港の間を1日2~3往復しか飛んでいない
- 乗客定員19人の小さなプロペラ機で運航しているため利用者が限られてる
- 三宅島空港の滑走路が短く、風による影響を受けやすいため、欠航率が2割
- 大人片道の料金が17500円と高価であること
ダイバーの場合には、基本的にダイビング終了後18時間経過しないと、飛行機に乗ることができないので、ほぼ全てのダイバーがフェリーで三宅島を往復しています。
ダイビングや、ドルフィンスイムを目的に三宅島に行く人のスケジュールは、主に下記のプランが多いです。
①夜に東京の竹芝埠頭を出港するフェリー(東海汽船「橘丸」)に乗船して、船中泊で朝5:00に三宅島に到着します。
②到着日にダイビングやドルフィンスイムを楽しみ、三宅島内のホテルや民宿などの宿泊施設に宿泊して、翌日の午前中にもダイビングやドルフィンスイムを行います。
③午後のフェリーに乗って夜に竹芝埠頭に到着する2泊3日(1船中泊・1島宿泊)が一般的です。
もちろん延泊して三宅島の滞在日程を伸ばすことはできますが、初日の出発が22時半なので、実質2日だけの休みだけで、三宅島でのダイビングやドルフィンスイムが楽しむことができます。
ダイビングの予定を少なくして、レンタカーを借りて、三宅島の観光地を回ることもできます。三宅島は1周30kmほどの島なので、特に寄る場所がなければ、1時間で回れるくらいの大きさです。レンタカーの手配は、宿でもしてくれるので、借りたいと思ったら相談してみるとよいでしょう。おすすめの観光ポイントも教えてくれますが、灯台や噴火関連施設が多く存在しています。
2.三宅島のダイビングが人気の理由【5選】
三宅島がダイバーの間で人気になっている理由をあげると、次の5つにまとめられます。
①有給未取得で離島ダイビングができる
②生物の種類が豊富
③透明度の高い海
④たくさん潜れる
⑤ピークシーズンでも安価
順番に見ていきましょう。
三宅島ダイビングが人気の理由①有給未取得で離島ダイビングができる
記事の前半でも記載していますが、三宅島へのダイビング旅行は、3日間で十分楽しむことができます。3日間といっても、初日は夜22時半竹芝埠頭出港のフェリーに乗れればよいので、東京周辺に勤務している人であれば、有給休暇を使わないでも金曜の仕事が終わってから、フェリーに乗り込めば日曜日の夜には東京に帰ってくることができます。
沖縄など飛行機を使ってダイビングに行く場合は、最低でも3日間の休みが必要で、同じ2日間のダイビングをしたいのであれば、初日は早朝の飛行機に乗って、到着ダイビングを行い、2日目は普通に潜れますが、飛行機に乗る関係で最終日はダイビングをすることができません。
三宅島ダイビングが人気の理由②海の生き物の種類が豊富
天気がよい日には、三宅島から神津島の先に伊豆半島が見えるほどなので、三宅島の海には、伊豆でダイビングをする人にはおなじみの、ソラスズメダイやキンギョハナダイといった小魚や、カンパチやブリといった回遊魚が生息していて、ダイビング中もそれらの姿をよくみかけます。
また、水温の高い黒潮の影響により、沖縄などの南方系の生物(セナキルリスズメダイやアマミスズメダイなど)が定着しています。伊豆半島でも南方系の生物が流れ着いてダイバーに人気になりますが、そのほとんどが冬の低水温を生き抜くことができません。しかし、三宅島では冬場でも水温が下がらないこともあって、南方系の生物も普通に見ることができるのです。
近年ダイバーの間で人気の高いウミウシの仲間も、伊豆で見られる種類と南方系の種類の両方が見られるため、海の宝石と呼ばれるウミウシ探しを目的に、三宅島に潜りにくるダイバーが続出しています。
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三宅島ダイビングが人気の理由③透明度の高い海でダイビングができる
海の透明度を決める要素はいくつかありますが、大きな川が存在するか否か、水底の構成物、海流の3つが主にあります。三宅島には大きな川が存在していないので、雨が降ったときにも濁った水が海に入りにくく、きれいな水がキープされます。水底は細かな砂や泥ではなく、黒い玉砂利状のところが多いので、波などで砂が舞い上がりにくく視界がクリアな状態が続きます。
そして、本州の南部には世界最大級の暖流の黒潮が流れていて、三宅島の近辺を通過しています。黒潮は、暖かくてキレイな潮なので、黒潮が流入してくる三宅島は常に暖かくてキレイな水が供給されていることになります。
2017年8月から始まった黒潮大蛇行の影響で、三宅島はずっと黒潮が直撃していて、高水温で高透明度の状態が続いています。その代わり流れが早いので注意してください。
三宅島ダイビングが人気の理由④短い日程でも沢山ダイビングができる
三宅島に3日間の日程でダイビングをしに行くことを考えると、ドルフィンスイムをしないのであれば、無理矢理でなくても5本のダイビングが可能です。到着日の午前中に2本と午後に1本。そして翌日は、5時や6時からの早朝ダイビングと朝食後に1本の合計5本が潜れます。
早朝ダイビングは、ウミカメの出現率が高く、1回のダイビングで5個体以上のウミガメと出会えることもあります。1回のドルフィンスイムを行う場合でも、3本のダイビングが可能です。
帰りのフェリーは午後1時か2時頃ですが、飛行機は搭乗するのに、18時間空けなければいけませんが、フェリーの場合はギリギリまで潜っていても問題ありません。
三宅島ダイビングが人気の理由⑤ピークシーズンでもダイビングが安価にできる
旅行会社を使って三宅島のツアーを申し込むことはできますが、船と宿泊施設、ダイビング(ドルフィンスイム)を別々に予約する方が一般的です。ダイビングやドルフィンスイムの予約は宿泊施設を通せば、予約時の煩わしさはほとんどありません。
旅行会社のツアーの場合は、お盆や連休時の日程では、ツアー料金が高額になり、同月の平日ツアーとピーク時のツアー料金との差は、3倍以上になることも珍しくありません。
一方、三宅島のフェリー料金は月によって変わりますが、最も高い8月と冬場では2割ほどの差がありますが、宿泊施設に関してはほぼ差はありません。
大型連休になると、飛行機を使ったツアーはどうしても高額になってしまい、なかなか有給休暇をとることができない人にとって、三宅島は貴重な休みを使わずに、安価に潜りにいける場所として人気があるのです。
3.三宅島のダイビングスタイル
三宅島のダイビングは、ビーチダイビングとボートダイビングの両方がありますが、ビーチダイビングが主流です。6月と10月の週末限定で潜ることができる「めがね岩」はボートによるダイビングポイントで、このときだけは普段は潜ることができない「めがね岩」で潜るダイバーが、ボートダイビングを楽しんでいます。
普段伊豆近辺で潜っている関東在住のダイバーは、ダイビングポイントの近くには、更衣室やシャワーといった、しっかり整った施設があるものだと思っている人が多いですが、三宅島のビーチダイビングポイントには、公衆トイレがある位で、基本的にダイバー用の施設はありません。
※大久保浜には公衆トイレにキャンプ用のシャワーがあります。
冬場は潜り終わってからすぐに体を温めることができないため、ダイビングシーズンは一般的に5月から10月位、天気がよければ11月までとなります。
また、三宅島のダイビングポイントは、島の西側に集中しているため西からの季節風が強い冬場は、海が荒れてしまい潜りにくいということもあります。
三宅島でのダイビングスタイルは、ダイビングショップ所有のバンに器材とシリンダー(タンク)を積んで、車で数分から遠いところでも15分位のダイビングポイントに移動して、潜り終わったら1本毎にダイビングショップに戻ってくるスタイルです。
三宅島のダイビングポイントの多くは、駐車場から器材を背負って、玉砂利やゴロタ岩を歩いていかなければいけないため、それなりに体力を使います。体力がなくて器材を背負って歩くことが大変な場合には、あらかじめダイビングショップに伝えておけば、エントリー口の近くにシリンダーを置いておいてもらうことができます。
4.三宅島を拠点にしたドルフィンスイム
三宅島でドルフィンスイムができると考えがちですが、実際にイルカが住み着いている島は、三宅島から南に10kmほど離れた御蔵島です。御蔵島までも同じフェリーの橘丸でいけるのだから、御蔵島に宿泊したほうがよいと考えがちです。
しかし、御蔵島に宿泊した方が良い場合と三宅島に宿泊した方がよい場合と、どちらにもメリット・デメリットがあります。
三宅島を拠点としたドルフィンスイムのメリット3点
三宅島が拠点のドルフィンスイムのメリット①船の就航率が高い
御蔵島には集落のある島の北西側にしか港がなく、その港も規模が小さいため、ウネリが強いときや西寄りの風が強いときには、フェリーが接岸することができません。そのため、御蔵島の就航率は年平均で60%台に留まっています。
一方、三宅島は島の東側に三池港、西側に錆ヶ浜港、そしてウネリが強いときには伊ヶ谷港というウネリに強い最終避難的な港もあるので、フェリーが竹芝埠頭を出港さえしてくれれば、ほぼ確実に三宅島に降りることができます。
三宅島が拠点のドルフィンスイムのメリット②船長さんが高い位置からイルカを探せるので、イルカの発見が早い
御蔵島でのドルフィンスイムは、船長がイルカの群れを見つけたら先回りしたところに落としてくれます。海が穏やかなときはイルカの背びれがよく見えるのですが、少し波があると波とイルカの背びれの見分けができないため、イルカの群れを見つけるのが困難です。
三宅島からのドルフィンスイムのボートは、高さがあり、船長も高いところからイルカを探しているので、御蔵島のボートよりも確実にイルカの群れを探し出してくれます。そのため、少し波があるときには三宅島からのボートの近くに御蔵島のボートが近づいてきます。
三宅島が拠点のドルフィンスイムのメリット③ダイビングもドルフィンスイムも楽しめる
三宅島を拠点にしていると、ドルフィンスイムだけでなく、三宅島の豊潤な海でダイビングを楽しむことができます。
御蔵島ではスキューバダイビングをすることができず、海でのレジャーというとドルフィンスイムしかありません。一方、三宅島ではスキューバダイビングはもちろん、シュノーケリングや海水浴を楽しめるポイントがたくさんあります。
三宅島を拠点としたドルフィンスイムのデメリット3点
もちろんデメリットも存在します。主なデメリットと言えるのは下記の3点に絞られます。
- 三宅島から御蔵島までの往復に時間がかかる(片道40分程度)、
- 最大でも午前1回と午後1回の合計2回が限界
- ボートが大きく高さがあり、浅瀬のイルカの群れに近づけない可能性がある
三宅島以外でも「初島」でドルフィンスイミングができます。
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三宅島ダイビングのまとめ
島でのダイビングというと、海外や沖縄の島々で明るい日差しが白い砂に反射して眩しいものというイメージを持つ人が多いかと思います。
火山島の三宅島の砂は黒っぽくて、ダイビングのスタイルも、エントリーやエキジットが大変なビーチダイビングや、ボートダイビングでも釣り船で港から数分のダイビングポイントに潜りにいくので、リゾートダイビングのイメージとは遠いものです。
しかし、三宅島でのダイビングは、豊富な魚種や魚影、それに黒潮からの恵みによる高い透明度が期待でき、ダイビングの面で高いポテンシャルがあります。
飛行機を使って、ダイビングツアーに行こうとすると、最低丸3日は必要ですが、三宅島には金曜日の仕事が終わってから、出発すれば日曜に帰ってくることにより、土日が休みの人であれば有給休暇を使わなくても、気軽にダイビングやドルフィンスイムが可能です。海とイルカに魅了されて、毎年三宅島を訪れてみてください。