マクロに大物・深海魚にも!?西伊豆「大瀬崎」ダイビングの魅力を解説!
駿河湾に面しており、潮の流れで深海魚がたびたびやってくることからプロの海中写真家の方々も多く訪れる大瀬崎。太平洋に突き出た半島が自然の堤防となり台風の影響も受けづらく、ダイビングライセンスのCカード講習などでよく使われる場所でもあります。
まさにダイバーのメッカ!そんな大瀬崎でのダイビングについて紹介してきたいと思います。
目次
1.大瀬崎とは?
伊豆半島の西に位置する大瀬崎は、別名『琵琶島』とも呼ばれる、駿河湾に約1km突き出した半島で国の天然記念物となっているビャクシン樹林が群生しています。
海越しに日本一の富士山を望めるこの大瀬崎は、古くから名勝の地と知られており、その名は海外にも広く知られています。駿河湾に面していることで多種多様な生物がみることができ、フィッシュウォッチング派・フォト派のあらゆるダイバーが楽しむことができます。
また、大瀬崎にはたくさんの現地ダイビングサービスがあり、1つのポイントとして日本最大のキャパシティーを持っています。一人一人のダイバーの目的に合わせたダイビングも可能でとても魅力的なポイントです。
毎週、水・土・日にはナイトダイビングも楽しめちゃいますよ。
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お瀬崎へのアクセスは西伊豆の中で、最も訪れやすいと言えるでしょう。首都圏にお住まいの方は、東京駅、品川駅、横浜駅から出ている「JR特急踊り子」を活用すれば、新幹線よりも安く快適に「伊豆箱根鉄道駿豆線」沿いの駅に行くことができます。東海地方に住んでいる方もアクセスが良いため、お瀬崎には行きやすいです。
東京駅から出発した場合は、2時間前後、片道4000円前後を想定しておけば大丈夫です。もちろん三島駅で降りて途中から「伊豆箱根鉄道駿豆線」に乗り、各駅を楽しんだりするのもおすすめです。宿泊施設は三島〜伊豆長岡駅辺りに泊まっていれば、送迎に来てくれるダイビングショップもあります。
伊豆中部の温泉でまったりしながらダイビングを楽しむスタイルも個人的にはおすすめです。車が好きな方や車を出せる方は、お瀬崎にあるダイビングショップに併設している施設に宿泊するのも良いです。
2.大瀬崎のダイビングエリアポイントは?
まずは、海岸の目の前にある
・「湾内」
・「岬の先端」
岬の外側、西側にある(太平洋側)ポイントは
・「柵下」
・「大川下」
・「一本松」
・「門下」
・「玉崎」
・「白壁」
の計8個のビーチポイントに加え、ボートダイビングでは
・「ホトケ」
と呼ばれるポイントがあります。
湾内は、ビーチエントリーの砂利浜を進んでいくと大きな石が積み重なったゴロタがあり、その先には砂地が広がっています。
砂地には様々なオブジェの漁礁があり、その周りにはたくさんの魚たちが住み着いています。ミノカサゴがたくさんいる印象ですね。他にも砂地には共生ハゼたちが多く見られます。
外海は、カラフルなソフトコーラルが多く見られ、その周りには擬態しているニシキフウライウオやタツの仲間、カラフルなエビやカニといった甲殻類たちもたくさん見られます。湾内とは対照的にカラフルな光景が広がっています。
先端は、岬の”先端”ということから潮通しがとても良く、湾内のゴロタよりも小さな岩が積み重なって斜面になっているポイントです。時にはマンタやシュモクザメ(ハンマーヘッドシャーク)などの大物が通ることもあります。
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潜水できる時間は下記の通りになります。
・4/1~9/30
《湾内》 7:00~18:00
《外海(太平洋側)》 7:00~17:00
《先端》 9:00~16:00
《ナイト》 19:00~21:00
・10/1~10/14
《湾内》 7:00~17:00
《外海》 7:00~17:00
《先端》 9:00~16:00
《ナイト》 19:30~20:30
・10/15~2/28
《湾内》 7:00~16:00
《外海》 7:00~16:00
《先端》 9:00~16:00
《ナイト》 18:00~20:00
・3/1~3/31
《湾内》 7:00~17:00
《外海》 7:00~17:00
《先端》 9:00~16:00
《ナイト》 18:30~20:30
※時間はすべて、エントリー・エキジットの時間となります。
3.大瀬崎の海況は?
海水浴客が最も訪れる8月は水温28度ほど、最も寒い時期だと13度ほどにまで下がります。
波や風は、湾内であれば太平洋に突き出した半島のおかげでさほど影響は受けずに潜水可能です。台風が来ても湾内は潜水可能ということはよくあります。(台風によるウネリなどが強い場合には潜水中止になります)
外海・先端は外洋に面しているため、潜水できなくなることが多くあります。また、筆者の経験上ですが、初心者の方はまず初めに湾内で慣れてから外海に行くとより楽しめるかと思います。
外海は、湾内より大物を見られたり、地形もダイナミックなところがありますが、その分やはり外海、外洋ですので海の中は流れが少しあったり、エントリー・エキジットのときに体勢を崩して転んでしまうことも多々あります。(お恥ずかしながら筆者はエントリー時フィンを履くときなどよく転んでしまいます。。)
でも、必ずガイドやインストラクターがついているのでサポートしてもらいながらうまくエントリーできるはずです!なので心配はいりませんよ。
《そして、日本に四季があるように、大瀬崎の海にも四季があるんです。》
大瀬崎の春 水温15度~22度
春になるとマメダラワやホンダラワなどの海藻が生い茂り、美しい海藻の森が見られます。春は赤ちゃんシーズン。海藻の根本にはメバルやカサゴの幼魚が。
また、大瀬崎の春と言えばマンボウですね!ただ、春はプランクトンも多くなり、伊豆半島全般的に「春濁り」といって透明度が悪くなることが多いです。
幼魚と海藻の森を目当てに行くなら春がいいですね!春と言っても水温は20℃切ることが多いのでドライをお勧めします!
大瀬崎の夏 22度~28度
春の静かな海から一転、外海はもちろん、湾内にもタカベやイサキの群れが入ってきてとても賑やかな海になります。湾内のゴロタ上にはソラスズメたちが群れており、シュノーケリングでも観察できるので大瀬崎の夏は海水浴客でいっぱいなのです。
他にも、タツの仲間やハゼ、春先からポツポツ出てきている可愛らしいカエルアンコウなども見られます。そして夏には死滅回遊魚もたくさん入ってくるのでカラフルな湾内も見られますよ。
例えば、ミナミハコフグの幼魚やタテジマキンチャクダイの幼魚などが見られることも!暖かくなると魚たちの恋のシーズンでもあります。
人気のクマノミは外海や先端でペアで見られます。一生懸命卵に新鮮な海水を送っている姿はとても健気ですよ。湾内で見られることもあります!
他にも湾内でたくさん見られるソラスズメダイたちも岩の裏でせっせと卵を育てています。夏にはこういった生態系の観察もよくできます。マニアックな方にもおすすめな夏です。
大瀬崎の秋 26度~22度
伊豆半島の水温は気温と2か月遅れで変わっていくため、秋がベストシーズン!夏から入ってきていた死滅回遊魚がどんどん増えていきます。
また、透明度も夏より秋のほうが良くなり、まさに「透き通った青い海」が見られます。ソフトコーラルの中には、えっこれ魚?と思うようなニシキフウライウオがいたり、春から続いているカエルアンコウもたくさんいたり、運がいいとハタタテハゼなんかも見られます。
先端ではケラマハナダイなどといったザ・南方種が増えて、沖縄のような景色が広がっています。他にもワイドであれば、タカベやイワシの群れにブリなどの大型魚がアタックしている様子が見れたり、ダイナミックな海も感じることができます。
何でもそろうのが秋ですね。
大瀬崎の冬 水温20度~14度
春夏秋冬の中で透明度が群を抜いて一番なのが冬です。調子がいいときには20m以上も見れるみたいですよ。冬になると割とどこでもウミウシが増えてきますが、大瀬崎にも増えてきます。
やはり人気なのはツノザヤ系のウミウシでしょう。他にも、大瀬崎の冬は激アツです!深海魚シーズンとなります!産卵のために普段は深いところに住んでいる魚たちが浅場へとやってくるみたいです。
中でもよく見られるのがマトウダイ。
他にも湾内でアンコウが見られたり、ミズウオが超浅場にいたり、ユウレイイカ、ホテイエソなどの深海魚の有名どころも見られます。
ナイトでは、ライトトラップを使うと様々な深海魚の赤ちゃんに出会うこともできますよ。魚をよく知らない人も聞いたことあるであろう深海魚、リュウグウノツカイだったり、アンコウの赤ちゃん、イカや甲殻類の赤ちゃん「メガロパ」にも会えますよ。
冬の大瀬崎は何に会えるかわからない・・・そんなドキドキも味わえます。
4.大瀬崎ではどんな海の生き物が見られるの?
日本一深い駿河湾に面しているので、水温が下がる時期にはアンコウなどの深海魚が見られたり、黒潮の影響を受けるので秋には南方系のカラフルは魚もやってきます。春にはなんと外洋でマンボウとも出会えるかも!
そんな一年を通して楽しめる大瀬崎の有名どころを紹介したいと思います。
大瀬崎で見られる海の生き物①ウミテング
大瀬崎の湾内といえばウミテング!(だと私は思っています。)天狗の鼻のような長い吻を持つことから名づけられました。小さくてのそのそ動いてる感じがかわいいですよ~。大瀬崎では7~9月に湾内で見られます。
大瀬崎で見られる海の生き物②カエルアンコウ
(筆者の好きなクマドリカエルアンコウ)
こちらのお魚は「アンコウ」特有の「エスカ(疑似餌)」を持っており、釣りをする魚として知られています。泳ぎ方(歩き方?)も特徴的で発達した胸鰭を足のように使って海底を移動します。
2~4月に大瀬崎の湾内で1㎝ほどの極小個体が見られます。そこから夏の繁殖期に向けて数がどんどん増えて行き、成長します。
南方系の「イロカエルアンコウ」「オオモンカエルアンコウ」「クマドリカエルアンコウ」は10~1月の秋冬に外海や先端などで出始めて、湾内で確認できることも。
個体によって色や模様が変わってくるのでお気に入りの個体を探してみても楽しいと思いますよ。
大瀬崎で見られる海の生き物③アンコウ
「アンコウ鍋」のアンコウです。アンコウは深海魚としてもよく知られており、水深30~500mの海底に生息しています。大瀬崎の湾内でよく見られるのは11月~3月ごろの比較的水温の低い時期に見られます。
大瀬崎で見られる海の生き物④ミジンベニハゼ
こちらもまた、大瀬崎のアイドルと言えるお魚です。黄色い体に大きな鰭が特徴のハゼの仲間です。海底に沈んでいるビンやカンの中に住んでおり、たまにひょっこり顔を出している姿が印象的です。
繁殖期には、オスメスとペアで行動していて、子守をしている健気な姿も見ることができますよ。
大瀬崎で見られる海の生き物⑤ウデフリツノザヤウミウシ(ピカチュウウミウシ)
ピカチュウウミウシこと、正式名は「ウデフリツノザヤウミウシ」です。黄色と黒と白の色合いと、2本のツノがピカチュウを連想させることからそういわれるようになりました。
本当にそっくりですよね!大瀬崎では10月~11月に湾内・外海・先端と各ポイントで極小個体が見られるようになります。小さいときにはウミウシのエサとなる「コケムシ」があればほぼ移動することなく定位置で見られます。
春になると見られる数は少なくなり、6月~9月の夏秋で大きい個体がみられることもあります。
大瀬崎で見られる海の生き物⑥マンボウ
あのマンボウが自然の海で見られるの!?と驚かれる方もいらっしゃるかと思いますが、ここ大瀬崎では見られるんです!!大瀬崎で見られるのは、3~5月の春。外海や先端で見られます。
ここにはクリーニングにやってきているようで、マンボウの横には魚のクリーニング屋さんで知られている「ホンソメワケベラ」や「シラコダイ」と一緒にいることが多いようです。マンボウの出現頻度は多くないため、ダイビングして見られたらラッキーです。
他にも、「ボロカサゴ」、「サメ類」、「タツノオトシゴ」などの魚が見られることもあり、お瀬崎の海はバリエーションが豊富です。
5.大瀬崎のバディダイビングについて
経験本数が増えてきたら、「自分たちで計画して潜りたい!」「できるだけ安く、たくさん潜りたい!」と思う方もいらっしゃると思います。
「でも、ガイドさんがいないとどうしていいかわからない・・・」「インストラクターの人について行ってただけだからなにもわからない・・・」「自分たちで潜るには何が必要なの?」
などの疑問・不安もたくさんあるかと思います。波も流れも少ない大瀬崎はバディダイビングを始めるには最適な場所と言えるでしょう。
大瀬崎には下記のショップ様を除き、ほとんどのダイビングショップでバディダイビングのレクチャーを行っています。
・⑬Diving Shop 河童
・⑭海の案内人 ちびすけ
大体のスケジュールとしては、
1.コンディションの評価の仕方
2.潜水計画の立て方
3.基本スキルの確認
4.バディダイビングのコツ
などを陸上でレクチャーしてから、その後実際にインストラクターと潜ってみます。大丈夫だったら2本目はバディだけで!なんてことも。
6.そもそもバディダイビングって?
世界共通ルールとなっている「バディ・システム」です。「バディ」と呼ばれるパートナーと2人1組になって、最初から最後までお互いの近くにいてダイビングをするシステムのことです。
ガイドやインストラクターなどのプロのダイバーと一緒に潜らず、自己責任で潜るスタイル「セルフダイビング」動議で使われることもあります。
日本ではガイドと一緒に潜ることが当たり前のようになっていますが、海外ではガイドはオプション(文字通り案内する人)となることが多く、バディダイビングは当たり前になってきます。
その場合、ガイドは案内することが主なので、日本のように手厚いサポート、安全管理はしてくれないことが多いようです。このことからバディダイビングのスキルがあったほうがダイビングの幅はかなり広がり、なおかつどこでも安全にダイビングを楽しめるようになるのでオススメのスキルです!
バディダイビングは、Cカードを持っていれば経験本数は特に関係ありませんが、
1.最低限のスキル
2.健康状態の維持
3.突然の事故に対する自己責任体制
を整えることができれば誰でも潜ることができます。最低限のスキルとは、すべてOW(オープン・ウォーター)で取得されているスキルになります。
《スキルチェック》
・機材のセッティングと調整ができますか?
・水面でBCDに落ち着いて給気ができますか?
・水面でオーラル(口から)BCDに給気できますか?
・水面で緊急時にウエイトを外したり、つけることはできますか?
・自分の適性ウエイトを知っていますか?
・適正ウエイトでBCに頼らずにスノーケリング遊泳できますか?
・水面下(顔を水面につけて)でスノーケルとレギュレーターを交換できますか?
・水面でスクーバユニット脱着ができますか?
・推進10m地点へフリーで潜降できますか?
・いかなる水深からでも安全なスピードで浮上することができますか?
・潜行中に耳抜きができない場合は落ち着いて対処できますか?
・潜降してしばらく着底しないでいられますか?(ホバリング)
・水中でレギュレータークリアすることができますか?
・水中でレギュレーターリカバリーすることができますか?
・水中でマスク全部に水が入った場合マスククリアできますか?
・落ち着いてマスク脱着できますか?
・マスク無しのまま1分以上水中を泳ぐことができますか?
・水中を水平にゆっくり泳ぐことができますか?
・同位置でホバリング3分できますか?
・中層で水平姿勢が無理なく維持できますか?
・砂地などの傷つきやすい水底の上を泳ぐことができますか?
・自分のために自分のバックアップ空気源で呼吸することができますか?
・バディとバックアップ空気源を使って浮上できますか?
・水深9mからコントロールせれた緊急スイミングアセントができますか?
・フリーフローレギュから呼吸できますか?
・水中でスクーバユニット脱着ができますか?
・水中でウエイト脱着ができますか?
・水中で自分とバディのこむら返り(足がつるなど)の対処ができますか?
・エアーマネジメント50気圧残して浮上できますか?
・疲労ダイバーを水面曳航25mできますか?
・コンパスナビゲーションでの水面移動できますか?
・潜水計画を立てることができますか?
・バディと潜水前の器材や体調のチェックができますか?
・ハンドシグナルを使っての意思疎通ができますか?
などです。たくさん記載しましたが、Cカード取得時にすべて経験していることなので心配することはないかと思います。逆にこれだけ知っていれば、できれば何も怖がることはありません!
上記記載の中でも以下の知識があり、
・器材のセッティング
・マスククリアがスムーズに行える
・コンパスの使い方
・ダイブテーブル、コンピューターを使って安全なダイビングができる
・エアが少ないとき、無くなった時の対処法を知っている
・緊急スイミングアセント、バックアップ空気を使用しての浮上、緊急浮力浮上のやり
下記のスキルをインストラクターから受講して身につければ完璧でしょう。
・中世浮力がとれる
・ホバリングできる
つまり、『自分のことは自分でできる』『人には迷惑かけない』これができれば大丈夫レベルです。
ただ命にかかわることですので何か一つでも心配なこと、自身がないスキルなどあればインストラクターに言って再度レクチャーしてもらったり、経験本数を十分に増やしてから挑戦するほうが安全です。
大瀬崎でのダイビングまとめ
駿河湾と潮の流れ、そして突き出た岬のおかげで多種多様な生き物たちが見られる西伊豆きってのダイバーのメッカ「大瀬崎」いかがでしたでしょうか?首都圏の方はアクセスの良さから熱海や東伊豆の伊豆海洋公園、富戸辺りに行くダイバーも多いですが、西伊豆は隠れた穴場です。
沼津駅からは「大瀬岬」行きのバスで約1時間となかなかの距離ですが、時間をかける価値ありです。また、風も波も流れも穏やかなのでこれからダイビングを始める方、写真に挑戦してみたい方にとってはとてもオススメなスポットです。
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