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事前準備で攻略!船酔いを回避して快適なダイビングをしよう!
長い水面移動をしなくても、魚が多いところのすぐ近くでエントリーできるボート・ダイビングや、「潜る・食べる・寝る」だけという夢のような毎日を過ごせるダイブ・クルーズ。
そして南国リゾートのダイビングでは、朝から夕方までボートの上にいることも多く、ダイビングする上で、頻繁に利用することになるボートですが、初心者ダイバーにとって気になるのは「船酔い」です。
船酔いしてしまうと、せっかくの楽しいダイビングが台無しになってしまうので、できることならば、船酔いはしたくありません。この記事では、船酔いが起こる原因と、ダイバー向けの現実的な船酔いしない方法と対策についてまとめていきます。
1.乗り物酔いの仕組み
船酔いなどの乗り物酔いは、耳の三半規管に原因があると知っている人は多いかと思います。しかし、乗り物酔いの原因は三半規管だけでなく、目と脳の3つが複合して起因しているとされています。
耳の中にある三半規管とすぐ近くにある耳石器は、体の揺れやスピードを感知して、脳に情報を送りますが、情報量が多くなることで脳が混乱してしまいます。
また、目で見た情報と耳から入ってきた情報にズレがあることで脳が混乱して、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れることによって、乗り物酔いを引き起こします。
乗り物の中で本を読んだり、ゲームをしたりのように、手前を見ていると耳からの情報と、目からの情報のズレが大きくなることから、より酔いやすくなります。
その他に乗り物酔いの確率を上げる要因として、寝不足などの体調不良は自律神経の調子を崩しやすく、酔ってしまうのではないかというストレス、不快な臭いや暑さなども乗り物酔いの確率を引き上げます。
船酔いしない人のタイプ
三半規管が強い人ということになりますが、三半規管の強さは、生まれながらに決まっていることで鍛えることはできませんが、三半規管を揺れに慣らすことはできます。常に船に乗っているような漁師や船員は、船酔いに悩まされることはありません。
これは、慣れによって三半規管が船で揺れることは、特殊なことではないことから、余計な情報が脳に送られないようになるため、最初は船酔いしていたとしても、ある時点で船酔いを克服できるのです。
2.ダイビングの船酔いの特徴
脅す訳ではありませんが、ダイビングは船旅でのフェリー移動などと比べても、船酔いしやすいことは間違いありません。その理由をまとめると、次の3点となります。
- 利用するボートが小さい
- 細かな作業をしなければならない
- ボート以外でも酔う
船酔いしやすい原因①利用するボートが小さい
船のサイズは大きくなればなるほど、波の影響を受けにくくなり、揺れにくくなります。
ダイビングで使うボートは、10数人しか乗らなかったり、浅いところを走行しなければいけなかったり、小回りが効かなければいけないということで、小型のボートが使われます。
特に伊豆あたりのボート・ダイビングでは、1本ごとに港に戻るので、ダイバーが座る場所と、船長が操船する場所以外必要ないので、非常に小型のボートが使われています。
セブ(フィリピン)をはじめとした東南アジアでのボート・ダイビングでは、バンカー・ボートと呼ばれる、船体の横にアウトリガーと呼ばれる浮きが取り付けられています。アウトリガーは、横揺れを軽減してくれるため、船酔いしにくいタイプのボートです。
ダイブ・クルーズで使われる船は、全長30m以上あり、居室や食堂・広間があるので、小型のボートと比べると揺れが少なく、船酔いの心配は軽減されます。
普段船酔いが酷い人は、1日中船の上で生活するダイブ・クルーズは地獄のようだと思う人がいるかもしれません。しかし、ダイブ・クルーズが開催される場所は穏やかな海況であることも多いことも合わせて、実際には船酔いに悩まされることはありません。
船酔いしやすい原因②細かな作業をしなければならない
近くを見たり、細かな作業をすると酔いやすくなるのですが、器材セッティングのような細かくて、下を向きながら行わなければいけない作業がダイビングではあります。船釣りはすぐに酔ってしまうといいますが、こちらも浮きの1点を見ながら下方向を向いていることと共通しています。
船酔いしやすい原因③ボート以外でも酔う
揺れているボートにいると酔ってしまうと思いがちですが、ダイバーの中にはボートよりも水面または浅いところにいた方が、酔いやすいと言う人が多数です。
水面にいるときには、ボートよりも圧倒的に小さい人間の体は、波に直接揺られることになります。そして、水深5mの中層で安全停止をしているときには、浅いということで体は揺れるけれども、中層で目標物がないこと。
目で見ると動きはないけど、体は揺れているという三半規管と目のアンマッチが発生して酔いやすくなります。これを「波酔い」と呼びますが、ダイブコンピューターをじっくり見ていることも多いので、これも酔いやすくなる原因になります。
3.ダイバーに向けた船酔いしない方法
絶対に船酔いしないためには、毎日のように船に乗り続けて船に慣れることです。ただ、毎日潜るような南国リゾートのインストラクターでもなければ、毎日ボートに乗って潜れるダイバーはいません。
そこで、とにかく船酔いしたくない、または少しでも船酔いを軽減したいと思っているダイバーに対して、現実的に実践してほしい方法をまとめてみました。
この酔い止めしたら、絶対に船酔いしなくなるというものではありませんが、一つ一つ試してみることによって、確実に効果がある対策です。前日や当日朝の対策、そしてダイビング前後について分けて説明していますので、参考にしてください。
4.ダイビング前日や当日朝の準備
船酔いをしないための教科書的な対策になりますが、前日までの準備は大切です。
ダイビングの前日は気分が高揚していたり、ダイビング仲間が集まっていることもあって、お酒の量が増えてしまうものです。せっかく楽しみにきているのに、完全にお酒を抜いてしまうのは味気ないですが、翌日に二日酔いをするほど飲むのは厳禁ですし、翌日にお酒を残さないように控えめにしておきましょう。
そして、ダイビング当日の朝は、完全に食事を抜いてしまって、空腹にしてしまうのもいけませんし、お腹いっぱいに食べてしまうのも控えて、腹八分目までにしておきましょう。
船酔い対策の食べ物としては、消化の良い臭いの気にならない植物性の食品が良く、例えばおかゆやうどんといったものがおすすめです。
逆に控えたい食品としては、消化に時間のかかる動物性の食品で、玉子や肉は控えめにしてください。胃酸が多く出ると吐き気が増すため、炭酸飲料や柑橘系の飲み物も控えたほうが無難です。
そして最も頼りになるのが、船酔い止めの薬です。薬局にいけば、多種類の酔い止め薬が売っているので、どの薬を購入したら良いか迷ってしまいます。ダイバーの間で、最も評価されている酔い止め薬は「アネロン」です。
アネロンは、市販薬の中でも最も効き目が良いとされていて、ダイバーの間でもアネロンを指定して購入している人が、たくさんいます。
しかし、ダイビングの前に薬を飲むことは、効果や副作用がダイビング中に強く出ることがあるため、控えた方がよいとされています。
アネロンの副作用の症状として、喉がかわいたり、眠気が出たり、目が霞むことがあるとされています。ダイビングをするときに、この薬だったら問題ないとされているものはありませんが、「トラベルミン」であれば、大きな問題はないとされています。
「アネロン」などの強い酔い止め薬は、脳を少しだけマヒさせることによって酔わないようにします。脳をマヒさせるということは、思考力が落ちることになり、水中で冷静な行動が取れなくなってしまうかもしれません。
「トラベルミン」は酔い止めとしての効果は下がるかもしれませんが、脳をマヒさせるのではなくめまいを止める薬です。医師に処方してもらう薬が最も良いとは思いますが、現実的にはトラベルミンでまず試してみて、効き目に満足できないときにはリスクがあることを認識して、アネロンに手を出してみると良いのではないでしょうか。
他にも「内関」と呼ばれる、手と手首の間にあるシワから指3本分腕側にあるツボを押すことで、乗り物酔いが軽減されるとされています。この部分を押し続けるバンドが販売されているので、気休めかもしれませんが、効くと思ってバンドをしてみてもよいかと思います。
5.ダイビングで潜る前の対策
酔い止めを用意しているときには、船に乗る30分前には飲んでおくようにしましょう。船に乗り込む前に、担当するガイドやインストラクターなどのスタッフに酔いやすいことを伝えておけば、わかっているスタッフは少しでも酔いにくいように対処してくれます。
自分ですべきこととして列挙すると次の6点になります。
1.船は前方が揺れるので、後方に陣取るのがベスト
2.排気ガスの臭いで酔いやすくなるので、臭いがしないところに陣取る
3.器材セッティングなどの細かい作業は出船する前に行う。
4.体が締め付けられていると、酔いやすくなるのでウェットスーツはぎりぎりまで着ない
5.下を向いていると酔いやすいので、なるべく遠くを見て、仲間と話し込む
6.もし、ポイントまで時間がかかるようであれば、寝てしまう
6.ダイビングから潜り終わった後に
ダイバーが船酔いになるのは、1本目に潜る前よりも潜り終わった後の方が多いものです。水面にいる方がボートにいるより酔いやすいので、エキジットはなるべく早めに上がったほうがよいでしょう。
ボートが混雑しているときには、後から上がるとベストポジションが取られてしまったり、ダイバーがガチャガチャ動いていると心に余裕がなくなり、酔ってしまいます。
器材をバラすのは、すぐにしなくても問題ありません。器材をしっかり固定したら、揺れの少ないところにいって、ウェットスーツを脱いで乾いた格好になり、寒くならないようにしてください。
それでも船酔いしてしまったときには、我慢しすぎないで戻してしまった方が復活は早いものです。二日酔いは吐いても気持ち悪い状態が治らないですが、船酔いの場合は吐くと楽になることが多いものです。
船酔いのまとめ
ここまで、初心者ダイバーにとって切実な問題になりえる「船酔い」について記載してきました。船酔いをしないためにネットを使って調べて見ると、教科書的な内容のものが多く、ダイバーに限定した内容が細かく書かれているサイトはほとんどありません。
船酔いを克服できない人は絶対にいません。克服できるまでは、この記事に書いてある対策を実践してみて、楽しいダイビングを少しでも快適にできるように心がけてみましょう。
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