【上級編】ダイビングの楽しみが広がる!水中写真 第13回色と背景を工夫しよう

【上級編】ダイビングの楽しみが広がる!水中写真 第13回色と背景を工夫しよう

水中写真の撮り方も第13回目となりました。これまでの文章を読んでいただくことで様々なテクニックについてわかってもらえたのではないでしょうか。今までの12回分では、以下の内容を詳しくお伝えしてきました。

  • カメラに合わせてきれいに水中写真を撮ることができるテクニック。
  • ワイド撮影とマクロ撮影の2種類があり、レンズを使い分けることが大切。
  • 水中写真の上達には「外付けストロボ」が必要となる。
  • 生物や風景によってその被写体に合った撮り方のコツがある。

作例もマクロ生物が豊富な沖縄本島、マンタで有名な石垣島、地形が素晴らしいポイントがたくさんある宮古島などで写した写真を多く載せてきました。

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今回はさらなるスキルアップを目指し、中級者から上級者向けの内容として、次の2点をお伝えします。

  1. 色を意識すること
  2. 背景を工夫すること

これらを意識することで、格段にあなたの水中写真のレベルがアップするはずですので、最後までご覧いただき参考にできるところは取り入れてほしいと思います。

1.水中写真で被写体の生物だけ写すと図鑑みたいになります

誰もが同じ道を通るのですが、水中写真ではついつい魚やウミウシといった生物(被写体)だけに集中してしまいがちになるものです。

その状態で写すと、確かに被写体はピントが合い、きれいに写すことはできるのですが、ただ写っているだけで作品というより図鑑に載っているような写真になっているという経験はありませんか。

そのような写真から抜け出すため、つまりスキルアップするためには「背景の処理まで考える」ことと「色を意識する」ことが必要になってきます。まずは色についてお伝えします。まずは「画面全体の色の組み合わせ方」を考えてみましょう。

2.水中写真では実際の生物は何色か確認しよう

水中ではどうしても見るものが全体的に青みがかり、生物や背景の正確な色が把握しづらくなってしまいがちです。そこで正確な色を把握するために、筆者は毎回「水中ライト」を持って潜っています。

ストロボがあるのだから、あえてライトは必要ないのではないか、と思う方もいらっしゃるでしょうが、それならば実際に写した後にしか色を確認することができません。

ライトを当てて写す前に色が確認できたなら、場合によってはその段階で写すことを辞めて他の被写体を探すこともできますし、あえてストロボを使わずにライトだけで写そうと判断することもできます。

筆者は「撮影はストロボ、色の確認はライト」というように分けていることが多いです。最近ではライトをストロボのようにアームに取り付けることも簡単にできるようになっています。

そのようにして、いつでも両手が使えるようにしてライトとストロボを水中に持っていくスタイルがいいと思います。

3.水中写真では同系色で画面をまとめてみる

イソバナやウミウチワに住むハゼ類や貝などの被写体を撮るときによく使う手法に、「画面全体を同系色で統一する構図を考えてみる」というものがあります。

赤いイソバナなら全体も赤系にまとめ、オレンジのウミウチワならオレンジ系でまとめるという手法です。そうすることによって、画面構成に統一感が生まれ、色から生み出される写真の世界観が相手に伝わりやすくなるのです。

そのような写真を撮る場合に気を付けることとして、被写体が決まればそれをどこに配置し、そこからどのあたりを画面に入れ込み写せば色の統一感が生まれるかを見つけていく必要があります。

ファインダーや液晶パネルを見ながら被写体との距離やバランスを考えながら探してみてください。その際、カメラを大きく動かしてしまうと肝心な被写体が逃げてしまうこともありますので、ゆっくり魚を脅かさないようにしましょう。

4.水中写真では目立つ色の組み合わせを考えてみる

筆者が最もよく使う手法なのですが、3とは全く逆の発想で画面をまとめるという手法です。つまり、同系色でまとめるのではなく、コントラストを重視し目立つ色合いで写真を撮りまとめてみてもいいと思います。

ワイド写真なら、黄色いチョウチョウウオの群れに南国らしい青い海を背景にして写してみることもできるでしょう。マクロなら白化したイソギンチャクに赤いハマクマノミを背景にして写してみるなどができると思います。このようにコントラストを重視した組み合わせで写真を撮ることで見た目に鮮やかな世界を表現することができるはずです。

また、マクロ写真を撮るときに時々使う手法ですが、「あえて背景を黒くする」手法も取り入れています。背景を黒くすることで、被写体の鮮やかさを目立たせるようにするのが狙いで、赤や黄色の被写体の時には特に効果的です。背景を黒くすることを好まない写真好きの方もいらっしゃいますが、筆者は使っていますので作例を参考にしていただき、やってみるかどうかを考えられてみてください。

5.水中写真で使える!カメラの「露出補正」

以前にも何度か取り上げた「露出補正」ですが、復習も兼ねてぜひカメラで設定して使いこなせるようにしてほしいのです。ダイビングを続けていると水中には「黒い被写体」がけっこう多いことに気が付かれると思います。砂地に住むハゼやカエルアンコウの仲間、ウミウシ等に黒い個体は多くいるのです。

黒い被写体を撮ることはけっこう難しく、カメラが適正だと判断した露出数値で撮ってみると真っ黒になってしまい、どこに被写体が写っているのかわからなかったという経験をされた方も多いことでしょう。筆者も以前は何度も経験したものです。そんなときにこそ、この「露出補正」の機能を使ってほしいのです。

黒く潰れてしまった写真になったということは露出をプラスに補正する必要があります。状況によってどの程度プラスにしたらいいのかはケースバイケースですが、まずは1段階プラスにしておきましょう。

同様に「白い被写体」を写す時も有効な方法です。白い被写体の場合は黒とは逆に真っ白な写真になる場合がありますので、マイナス側に補正する必要があります。この場合もまずは1段階マイナスにして撮ってみてください。

ハゼなどの「砂地にいる生物」を撮る場合にも露出補正は知っておくと便利です。というのも沖縄と伊豆では「背景になる砂の色」が違うからです。沖縄は白砂ですが伊豆では黒っぽい砂です。背景の色が違うことで露出も変わってくるのです。このようなときも露出補正を上手に使って写してみてください。

6.水中写真の背景を意識してみる

水中ではつい被写体に集中してしまいがちになり、背景に意識がいかないという方もきっと多いことだと思います。陸上とは違い、体が安定しない状況の中ですし、サンゴの間や岩陰での撮影もありますので体の自由もきかないことも多いです。

魚によっては動き回るものもいますので毎回背景に気を付けることは厳しいこともよくわかります。そんな中でも背景はぜひ意識してほしいポイントです。ここからは背景処理について触れていきます。

7.水中写真の背景の高さを変えてみる

陸上では上から写すことは重力があるので難しいですが、水中では浮力があるので上から写すことは簡単です。この高さの違いで背景の雰囲気が大きく変わります。特にワイド系写真ではちょっとの高さの差で大きく背景の印象が変わるので、同じ被写体でも高さを変えて写してみてください。

もちろんマクロでも高さを変えて写すことは効果的です。マクロの場合は写真を撮るときにカメラのアングルを変えることで背景が変わり印象の違う写真が撮れます。

マクロ写真では経験から上から撮るよりも魚の視線と同じ高さで撮ることで背景に奥行きが出てきれいに背景処理できることが多いです。

特に、カエルアンコウやウミウシ、カエルウオなどのあまり動かない被写体や、動きの遅い被写体の場合は、写真を撮る前にまず観察して、どの角度から写すことで背景がきれいに撮れそうかを、考えてから撮ってみてもいいのではないでしょうか。

8.水中写真の背景をぼかしてみる

過去にもお伝えしたことがありますが、絞りを開ける(f値を小さくする)ことでボケが大きくなりピントが合う範囲が狭まりますし、逆に絞りを絞る(f値を大きくする)ことでピントが合う範囲が広くなります。この「被写界深度」を利用して背景をぼかすことによってきれいに処理することができます。

方法としては「絞りの値を自分でコントロールしてできるだけf値を小さくして撮影する」ことです。慣れている方ならマニュアル設定にしてシャッタースピードと絞りを自分で設定して撮影したらいいのですが、そこまでの自信がない方は「絞り優先モード」で撮影してみたらいいでしょう。

このモードはあなたが絞りを設定します。例えばf=3.5に決めて設定したらシャッタースピードはカメラの方で自動設定し撮影できるのです。f値を小さくすることで被写体だけに、あるいは被写体の一部だけにピントが合い背景はボケて写り込みます。

そうすることで背景の印象を大きく変えることができるのです。オート撮影で写し、毎回同じ雰囲気の写真に仕上がってしまうと思われている方には、まずこの絞り優先モードで撮影してみることをおすすめします。

9.水中写真の背景を明るく写してみる

8で絞り優先モードについてお伝えしましたが、さらなるスキルアップを目指してマニュアルモードにしてシャッタースピードも自分で設定してみましょう。

マニュアルモードにして絞りを設定して撮影してみて、背景が暗いと思えばシャッタースピードを遅くすると背景が明るく写せます。場合によっては20分の1秒や8分の1秒といったスローシャッターになることもあり、その際手ブレや被写体が動くことによるブレが起こるかもしれませんが、慣れてくれると意外にできるものです。

上級レベル者はほぼ全員がマニュアルで写されています。チャレンジしてほしいです。

10.水中写真では水中ライトを使って背景を照らしてみる

ライトは毎回持って潜っているのでそれを使わないのももったいないですので、背景にライトを当てて写してみてもいいでしょう。背景が明るくなることで雰囲気の違う写真が撮れます。

筆者の場合はガイドさんに照らしてもらうことが多いです。お願いしたら快く手伝ってくれますので頼んでみましょう。

【上級編】水中写真の第13回まとめ

今回は「色を意識する」ことと「背景の処理」についてお伝えしてきました。この2点は水中写真のレベルアップには必要となります。意識することであなたの写真のイメージが大きく変わることは間違いありません。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

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