【中級編】ダイビングの楽しみが広がる!水中写真 第12回ビーチを綺麗に撮ろう

【中級編】ダイビングの楽しみが広がる!水中写真 第12回ビーチを綺麗に撮ろう

水中写真第11回までは、「水中世界の撮り方」について毎回テーマを設定して掘り下げてお伝えしてきました。被写体別の撮り方やワイド写真、マクロ写真の撮り方など参考になる部分もあったかと思います。ぜひこれからのダイビングライフに役立ててくださいね。

さて、沖縄はもちろん海外にダイビングに行ったとき、ダイビングポイントや宿泊先の前に広がるビーチの美しさに心を惹かれたことがあるのではないでしょうか。

南国の太陽の下、真っ青な海が広がる風景はもちろん、夕日が沈むサンセット時にオレンジに染まるビーチもとても美しいものです。普段は絶対に早起きしない方でも、朝日が昇るビーチの写真を撮ろうとして早起きしたことがある方も少なくはないでしょう。

水中写真を撮る方は「水中しか興味がない」方も沢山いらっしゃいます。きれいなビーチが目の前に広がっていても関心がないというのはあまりにももったいないと思うのです。海という恵まれた被写体があるのですから、ぜひビーチを含めた「陸写真」にもどんどんチャレンジしてほしいです。

そこで今回は、「きれいにビーチを写してみよう」というテーマで陸写真の散り方についてお伝えしていきます。

1.きれいな海をカメラで撮影しよう

水中写真を楽しまれているダイバーの中には、陸写真に全く興味を示さず、目の前に広がっているきれいな海やビーチの写真を撮らない方が結構な人数いらっしゃいます。実は筆者もそうでした。

水中写真はダイバーでしか撮れない領域ですが、ビーチ等の「陸写真の海」は誰でも撮れるという感覚でした。誰もが撮れない水中世界を撮るという希少性に楽しみを感じていましたし、海を陸から写してもマンタやクマノミ、サンゴがいないから、面白くないとも感じていたのです。

また、陸写真をきれいに撮るためには、ハウジングからカメラを一度出してから写し、再度ハウジングに入れ直さなければなりません。ボートの上やビーチでそのようなことをするのは、正直手間がかかりますし、カメラの出し入れを行うことで水没の危険性も増します。

レンズも水中ではマクロレンズかフィッシュアイを装着していましたが、陸写真で海を撮るときはレンズを付け替えることもあり得ます。そうした一連のことがとにかく嫌だったのです。今考えると実にもったいなかったなあと思います。

今は逆に積極的にダイビングの水面休息時間にビーチの写真を撮るようにしています。それでもハウジングからカメラを出し入れすることには抵抗がありますので、普段ペットの犬を撮るために購入したカメラをダイビング用とは別で持っていくようにしています。

休憩時間にはハウジングに入ったカメラはそのままにしておき、バッグから陸用カメラを持ち出して写真を撮っているのです。

誤解がないようにしておきますが、「陸用カメラを購入しましょう」と言っているのではありません。多くの方はスマホを持っているはずです。最近のスマホはとてもきれいに写真が撮れます。

あるいは以前使っていて、新しいカメラにステップアップしたことで自宅に保管されっぱなしのデジタルカメラがある方もいらっしゃるでしょう。それらの出番がやってきたと考えられたらどうでしょうか。

ハウジングに入っているカメラ以外にも、こうして高性能デジタルカメラを多くの方は持っています。それを使ってぜひ陸写真にもチャレンジしてほしいのです。

2.カメラを準備してみましょう

どんどんビーチ写真にチャレンジしてほしいのですが、スマホよりはやはりデジカメの方がきれいに撮れるのは言うまでもありません。レンズ交換も可能ですし、露出を変えたりアクセサリーを使ったりして効果的な写真を撮れますので、できればデジカメで写してほしいです。

ダイビングも含めた旅行の際、カメラを持っていくと重くてかさばりがちですが、最近のコンデジやミラーレス一眼はかなり軽量コンパクトになっています。オリンパスのミラーレスならカメラだけでなくレンズも軽量コンパクトですのでカバンの隅に入れておけます。

陸写真でビーチを撮る際、1番大切なことは「画角」です。画角とは「写せる範囲」のことだと考えていただいていいでしょう。カメラの説明書等を見ると「35mm換算」という言葉が目に入るはずです。いい機会なのでこのことについて簡単に少しだけ説明しましょう。

「35mm換算」とは昔のフィルム一眼レフカメラを基準としたカメラ関係の業界用語だと言っていいでしょう。最近では「フルサイズ」という言葉も使われますが同じ意味だとお考え下さい。

デジタル化が進み、今では「フルサイズ」「APS-C」「マイクロフォーサーズ」などという規格がありますが、それがどういうものなのかを説明する際に比較となるものが必要です。

その規格の基準しているのが35mm換算という言葉です。具体的には「この写真はAPS-Cという規格で50mmレンズを使っています。35mm換算で言うと75mmになります」というように使われているのです。

ビーチのように広い風景を撮りたい場合は画角の広いレンズを使う必要があります。具体的に言うとレンズのミリ数の数字が小さいもの、例えば水中で使っているマクロレンズが50mmや100mmなのに対し、ビーチを写す時には35mmや28mmといった数値が小さいレンズを使うことが一般的です。

ズームレンズをお持ちならば28~80mmとか24~105mmなどがありますが、その小さい数字の方で写せば問題ありません。

ですが、気を付けることがあります。それは水中でワイド撮影されている方なら「フィッシュアイレンズ」を使用されている方も多いかと思います。15mmフィッシュアイ(フルサイズ)や10~25mmフィッシュアイ(APS-C)といったレンズは確かに画角が広いレンズであることは間違いありません。

しかし、フィッシュアイレンズは「水平線が丸くゆがむ」という特徴があります。水中なら気になりませんが陸で写すと違和感を覚える写真に仕上がってしまいますので一般的にはおすすめできません。

3.ビーチ撮影における下手の横好き

これは筆者が過去にプロの写真家に直接言われた言葉です。「いつも横位置の写真ばかり撮ってきて工夫がない。これを下手の横好きというんだ」と厳しいご指摘をいただいたものです。

水中写真を写していると、ハウジングやストロボの関係上、横位置で撮ることが多く、縦位置で撮るとストロボの位置の修正が必要になるなど、けっこう手間がかかり、どうしても横位置写真が増えてしまいますよね。

しかし、陸写真はそうした必要がないので、慣れた横位置での写真だけではなく「縦位置」の写真も撮ってみましょう。縦位置で撮る習慣が付いていない場合は、横位置で写した後必ず縦位置でも撮るようにしましょう。まずは両方で撮ることにより、だんだん慣れてきて自然に縦位置がいいか、横位置がいいかの判断もできるようになってきます。

基本としては、横位置で撮るなら当然横に広い写真が撮れます。ビーチの広がりを撮りたい場合は横位置で写してみましょう。逆に縦位置は天地方向に広い写真が撮れますので奥行きが出る写真が撮れます。横位置と縦位置では同じビーチでも印象が全く違う写真が撮れますので、ぜひ両方写してみてほしいです。

4.ビーチ撮影にもう1つ何かを写し込んでみよう

ただ「青い海と白い砂浜」だけを写すだけなら、どこのビーチで写しても同じような写真になってしまいがちです。そこで写真上にもう1つ何かを入れてみることをおすすめします。難しい言葉で言えば「アクセントを加えてみる」ということです。

象徴的な建物でもいいでしょうし、花や果物、ビーチグッズでもいいと思います。友人と出かけているならば、友人にモデルになってもらうこともいいでしょう。友人が女性ならビキニの水着姿で一緒に写せば南国感や楽しんでいる様子がきっと見ている人に伝わるでしょう。

最近では「海沿いの教会」で結婚式を挙げられる方も多いです。沖縄にもきれいなビーチが眺められるチャペルがありますし、グアムやハワイといったリゾート地にもそうした場所があります。

そんなときには青い海をバックにビーチで新郎新婦の写真を撮るととても雰囲気のいい写真が撮れるでしょうし、同時にいい思い出ができるはずです。また旅行中に偶然そうした場面に出会ったときは、声をかけてお願いをして写真を撮らせてもらってもいいかもしれません。

アクセントが1つ加わるだけで印象がガラリと変わる写真が撮れますので、何か探して一緒に写してみてください。

5.ビーチ撮影で白い砂浜は露出が難しい

オート機能でビーチを撮影すると、何だか暗い感じの写真になってしまうことがあります。これはカメラの明るさを測定する機能が自動的にビーチに降り注ぐ太陽の光に反応して起こる現象です。逆に、以前筆者が使っていたカメラは、空や海の光で自動的に判断して白い砂浜が真っ白に飛んでしまい、見るも無残な写真になってしまったこともありました。

実際に写してみて、どうもイメージと違うなあと感じたら、露出補正機能を使用されることをおすすめします。露出補正はカメラで簡単に設定することができます。

イメージより暗いと感じたならばプラス補正を、明るいなと感じたらマイナス補正をかけるようにしましょう。カメラメーカーによって操作方法は違ってきますので説明書に従って設定してみてください。これでかなりイメージに近い写真が撮れるようになるはずです。

6.ビーチ撮影で画角の広いレンズを使わないという方法もあり

基本的には、「ビーチの写真は画角の広いレンズを使って広い風景を撮る」ことが多いのですが、ビーチをよく見ると砂浜には実に様々なものがあることに気が付くでしょう。

南国の鄙びたビーチに行くと、たくさんのカニやヤドカリが歩いている風景に出会うでしょうし、ビーチで遊ぶローカルの子供たちの笑顔に出会うかもしれません。きれいな花がビーチに咲いていたり落ちていたりすることも珍しくはありません。

そうした発見があったときは画角の広いレンズ(広角レンズ)の使用にこだわることなく状況の応じたレンズを選択するといいでしょう。被写体が生物ならばその視線と同じ高さから写すと自分の見えている世界と違う写真が撮れて雰囲気も大きく変わった写真になるはずです。

その時、かなり低い姿勢を取らなければならなくなるはずですので、腰等を痛めないように注してほしいですし、カメラが海水に濡れたり液晶画面を小石等で傷付けないようにしたりしないようにしてください。

【中級編】水中写真の第12回まとめ

以上、ビーチをきれいに撮る方法についてお伝えしてきました。ダイビングの合間の休憩時間などでぜひ写してみてくださいね。陸写真を練習していくことで水中写真にも生かされることが多く上達にも確実につながります。ぜひたくさん写してみてください。

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