ウミガメはどんな生物?ウミガメに会うには?2022年ウミガメ最新情報

ウミガメはどんな生物?ウミガメに会うには?2022年ウミガメ最新情報

カメの仲間の中でも1~2mと大型になるウミガメの仲間たち。カメと聞いてイメージする通り、動きがゆっくりで穏やかな顔をしており、水族館などでも大人気の生き物ですよね。

また、ダイビングでも人に物怖じせず、好奇心旺盛な子ガメだと様子を伺いに近よってくるような人懐っこさも見せます。

この記事では、そんな人気者である「ウミガメ」の魅力をもっと知ってもらうために、ウミガメの生態や特徴、ウミガメが見られるダイビングスポットなど、最新のウミガメ情報をお伝えします!

1.ウミガメとは?

ウミガメとは、爬虫綱ウミガメ目ウミガメ上科に属する仲間のことを指します。その特徴はなんといっても、一生のほとんどを海で暮らすということ。

ウミガメが陸にいるのは、出産(メスのみ)の時とふ化から海へ移動する間のみで、それ以外は海で過ごすんですね。その体も陸生のカメに比べると、水の抵抗を減らすため甲羅が平たくなっていたり、効率よく泳げるように手足がオールのような形をしていたりと、海での生活に特化した体をしています。

ただ、海に特化しているといっても、水の中で呼吸することは出来ません。よく勘違いされますが、あくまで他の陸生のカメと同じように肺で呼吸しているので、ずっと海の中に居続けると私たちと同じように息が出来ずに死んでしまうんですね。

…とはいえ、ウミガメは私たち哺乳類とは異なり体温を作る必要がないため、その分消費する酸素量も少なく抑えられるのですぐに溺れるようなことはありません。

また、寝るときは体の機能を極限まで低下させて酸素の消費量を抑えるため、活動時よりも長時間潜れます。ダイビング時に海の底でピクリとも動かないウミガメがいても、寝ているだけなので安心して下さいね!

2.日本で見られるウミガメ

ウミガメは寒帯を除く全世界に分布しており、現在8種類いるといわれています。(全7or9種類とする説もあり、まだ分類の研究が進められているところです。)その中でも日本の沿岸で見つかったのが5種類、日本で産卵が確認されたのが3種類います。特にアカウミガメは日本沿岸でのみ産卵が確認されているので、日本は重要なウミガメの産卵地なのです。

日本で産卵するウミガメの種類①アオウミガメ

生息地域:南西諸島、小笠原沿岸に生息

日本で産卵するウミガメの種類②アカウミガメ

生息地域:本州(福島県以南)~南西諸島、主に太平洋側沿岸に生息

日本で産卵するウミガメの種類③タイマイ

生息地域:沖縄県沿岸に生息

<日本沿岸で見られるウミガメの種類>

日本沿岸で見られる頻度の高いウミガメをご紹介します。

日本沿岸で見られるウミガメ①オサガメ

体長1.8mを超える世界最大のウミガメ。甲羅が皮膚で覆われている。

日本沿岸で見られるウミガメ②ヒメウミガメ

最大でも70㎝ほどの小型のウミガメ。集団産卵を行う。

また、日本でウミガメというと童話「浦島太郎」が有名ですよね。童話では、浜辺で子どもにいじめられていたウミガメを浦島太郎が助けたとありますが、今までの話より本州で浜辺にいるウミガメというと、出産のために上陸した「アカウミガメ」のメスであると推理できます。

「浦島太郎」の舞台が本州ではなく沖縄であればアオウミガメの可能性もありますが、「タイやヒラメが舞い踊る…」の件のマダイやヒラメがいるのも本州なので、やっぱりアカウミガメ説が濃厚ですね。「浦島太郎のウミガメの種類は?」、ダイビングや水族館での話のネタにいかがですか?

3.「アカウミガメ」と「アオウミガメ」

日本の沿岸で特によく見られる「アカウミガメ」と「アオウミガメ」。水族館で見られるウミガメも、ほとんどがこの2種のどちらかになります。

名前はアカ・アオと一字しか変わらずよく似ていますが、外見はいくつかのポイントを見れば簡単に見分けることが出来ますよ!以下の表に両種の違いを簡単にまとめてみたので、海や水族館でウミガメを見分けるときの参考にしてください。

アカウミガメ アオウミガメ
甲羅 後半部(後脚上)がくぼんでいる 縁が丸い
体色 赤茶色 濃茶色~黒色
頭部 頭が大きく、 頭は小さく、くちばしが丸い

特に、頭の大きさはアカウミガメだとアオウミガメの1.5~2倍ほどもあり、比べてみると一目瞭然です!なぜ違いが出るのかというと、それは2種の食性の違いに関係があります。

対して、アオウミガメは小さいときこそ肉食傾向が強いですが、大きくなると海草(海藻)を食べる草食性となります。アカウミガメは肉食性であり、貝類や甲殻類を主なエサとしています。そのような、硬いエサを食べるために顎の筋肉が発達しており、頭部も大きいと考えられます。

また、彼らの名前についてアカウミガメは甲羅の色(赤茶色)からその名がついていますが、アオウミガメは青色というよりは黒~濃茶色という感じで、全く青色要素はありませんよね。では、なぜ青くないのに「アオウミガメ」なのかというと、お肉(脂肪)の色が緑色であることからその名がついたのです!

「緑色ならアオウミガメじゃないのでは?」と思うかもしれませんが、「青信号」「青りんご」というように日本では昔から緑色のことを青と呼ぶ慣習があったため、語呂の微妙な「ミドリウミガメ」ではなく「アオウミガメ」となったのではないでしょうか。

ちなみに、アオウミガメのことを英語では「green tartle(グリーンタートル)」といいます。これをそのまま日本語にすると「ミドリガメ」ですが、日本でミドリガメというと一般的には「ミシシッピーアカミミガメ」を指すため、全く別の種類のカメになってしまいます。海外でアオウミガメを見ようとダイビングポイントを調べる際には、注意してくださいね。

4.ウミガメの生態

一生のほとんどを海で暮らすウミガメは、海での長時間の観察が難しいため、その生態は未だに謎に包まれている部分も多く存在します。

しかし、知名度の高さから陸上での産卵やストランディング(浜辺などへの漂着)の目撃情報など、漁師や一般人から研究施設への報告が多く、そこから判明した事が沢山あることも他の生物と比べて特徴的です。現在分かっているウミガメの生態について紹介しますね。

5.ウミガメのエサ

ウミガメは肉も草も食べることが出来る雑食性で、ほとんどが草食である陸上のカメ類とは少し異なる食性をしています。陸上のカメは移動が遅く動物を捕まえられないので草食になったと想像できます

。しかし、ウミガメは動きこそ速くないもののかなりの速さで泳ぐことが出来ます。正確な泳力は分かりませんが、私(元水族館の飼育員)の実体験より少なくとも人が泳いでも全く追いつけないほどでした。そんな訳でウミガメは泳いで動物を捕まえる術があることや、エサとなる動物が海の方が多いことなどから肉食性も獲得できたのではないかと思います。

ウミガメのエサを具体的に言うと、ホラガイ・シャコガイなどの貝類、カニ・エビなどの甲殻類、クラゲ、カイメン、アマモなど海草です。

ウミガメの種類により主要なエサは変わり、例えばタイマイはカイメン(海綿)の仲間を主なエサとしています。カイメンは岩やサンゴなどの表面を覆うように付着しているので、タイマイはサンゴなどの隙間から引っぺがしやすいように鋭くとがったクチバシをしているのです。

他にも、外洋性であり世界最大のウミガメであるオサガメはクラゲを主なエサとしています。見るからに栄養が少なそうなクラゲがエサで巨体を維持できるのか、疑問に思うかもしれません。

しかし、クラゲは捕まえるのが簡単なことや、大きいものだと数m以上になり一度に大量に得られることなどから、クジラやジンベエザメを初めとする海の巨大生物たちの主要なエサとなっています。

また、前述でアオウミガメはアマモやスガモなどの海草を主に食べているという話をしましたが、アマモは日の光のよく当たる浅い海域に生えています。アオウミガメにダイビングでよく出会うことのできるのも、アオウミガメがエサの多い浅い海域を生活の場としているからなんですね。

ちなみに、ウミガメの仲間たちは陸上でエサを食べることが出来ません。なぜなら、エサを水ごと吸い込んで食道に流しこむ食べ方をするため、水無しで呑み込むことが出来ないからなんです。ウミガメは、完全に海中での生活に特化した生き物なんですね。

6.ウミガメの繁殖

ウミガメの種類にもよりますが、約30年程度で成熟すると考えられています。ウミガメの寿命ははっきりと分かってはいませんが、繁殖できるまでに30年かかるということは、それでも絶滅しない数が保てるほど長生きであると考えられますね。

また、成熟したオスとメスの見分け方は簡単で、オスはメスに比べ尾が太く長いの点で見分けることが出来ます。

左:メス、右:オス

繁殖時期はアカウミガメやアオウミガメでは5~9月に産卵期を迎えます。雌雄が広い海でどう出会い交接するのかということは、観察例が少なく実はまだよく分かっていません。

普通に考えると、数多くいるわけでもないウミガメたちが繁殖のシーズンに運よく異性に会うということは難しいですよね。ただ、メスは交接したオスの精子を約100日間もの長期間保持することができるため、出会いの少なさをカバーできるんですね。

メスは砂浜に上がると砂と植物の境目あたりに大きな穴を掘り、ピンポン玉のような形の卵を一度に100個ほど産み落とし、再び穴に砂を被せて卵を隠します。産卵は一年で2~4回ほど行われますが、実は毎年ではなく2~4年開けて次の産卵が行われるのです。

数年越しの産卵となるので、産んだ卵が野犬などの野生動物に掘り返されてしまわぬよう、また深く埋めすぎて赤ちゃんが出てこれなくならないよう、メスは丁寧に卵を埋めていきます。

卵は約2か月でふ化しますが、実は卵の時の温度でオスかメスかが決まってしまうのです!温度が29℃以上ならメス、それ以下ならオスとなります。ふ化した子どもは、夜中に砂から這い出て海へ移動します。

夜中にどうやって海の方向が分かるかというと、海が放つ光(紫外線)を感じて移動しているといわれています。しかし近年、海岸に立つ電灯の強い光によって、海にたどり着けなくなり死んでしまうこともあるのです。

そうでなくとも、アリなどの虫や鳥、野生動物に捕食されてしまうため、海にたどり着けない子ガメも数多くいます。

無事に海に出た子ガメは2日間飲まず食わずで沖合を目指して泳ぎ続けます。この行動をフレンジーと言いますが、なぜこのような過酷な移動をするのかというと、沿岸は魚や海鳥など捕食者が数多く存在します。

生き残るためには、いち早く外敵の少ない沖合へ移動する必要があるんですね。このような危機を乗り越え、成熟するまで生きられるウミガメの数はおよそ0.02%以下であるとする報告もあるほど、厳しい世界で生きているんです。

7.ウミガメの捕獲・飼育について

野生のウミガメは、一種を除いて全ての種が絶滅危惧種としてレッドリストに登録されており、捕獲することが禁じられています。その一種であるヒラタウミガメも情報不足により登録はされていませんが、調査・研究が進めば登録される可能性も高いと考えられます。

なぜウミガメの絶滅が心配されているのかというと、私たち人間の生活の影響によりウミガメが死亡してしまうケースが増えているからです。

例えば、漁で使う網に誤ってウミガメが引っかかってしまったり、海に投棄されたビニール袋をエサと誤飲してしまったりという事故が後を絶ちません。

対応策として、ウミガメが逃げられる機能を網につけたりしていますが、プラスチック投棄は私たち一人一人が意識していかなければ解決できる問題ではありません。ウミガメのみならず他の生き物たちのためにも、海で遊ぶ際は「ごみを捨てない」というマナーを守っていきたいですね。

さて、ウミガメの飼育というと水族館を想像すると思いますが、水族館等の施設ではケガをしたウミガメを保護目的で許可を得て飼育しているか、水族館で繁殖させたものなので大丈夫なんですね。

もちろん一般の方の捕獲・飼育は禁止されていますので、海や浜辺で子ガメを見かけても触らずに見守ってあげましょう。

8.ウミガメを食べる!?日本のウミガメ食事情

ウミガメは小笠原や沖縄では昔から食用として利用されています。こちらは年間捕獲頭数に制限を設けたうえで、許可を得て捕獲しています。そんな訳で、小笠原や沖縄では日本でも珍しいアオウミガメの刺身や煮込み料理がお店で食べられるので、ウミガメのお味が気になるという方はぜひチャレンジしてみてください!

ちなみに、小笠原で売られているというアオウミガメの缶詰なら食べたことがありますが、正直言って今まで食べたものの中で1・2位を争う「マズさ」でした(^^;)まず、灰色な見た目に食欲が全く沸かず、口に入れた瞬間の生臭さに飲み込むことも難しいという具合で、一口でギブアップしてしまいました。

なぜマズいにも拘らずウミガメ缶が作られているのかというと、小笠原のような離島では、外部からの物資が無くなった緊急時などの貴重なタンパク源として重宝されていたからのようです。

味はともかくいい話のネタにはなったので、島のお土産としてウミガメの缶詰はどうでしょうか?(新鮮なウミガメ料理はとても美味しいそうなのでご安心下さい!)

9.ウミガメに出会えるポイント

ここまでウミガメについて、種類や生態などをガッツリ紹介してきましたが、まったり癒し系な人気者にぜひとも海で出会ってみたいですよね?アカウミガメなどのウミガメの仲間は外洋性で一か所に留まらず、狙って会うことは非常に難しいです。そのため、出会える確率の高いアオウミガメに出会えるスポットを紹介いたします!

ウミガメに出会えるポイント①シギラビーチ(沖縄県宮古島)

 宮古島の東側に位置し、ウミガメの遭遇率の高さから観光客に人気のビーチです。遭遇率の高さだけでなく、ビーチから入って数m泳げばウミガメスポットに着くという、お手軽さも人気の理由でしょう。もちろんポイントはとても浅いため、初心者でも安心してウミガメシュノーケリングが楽しめますよ!

またこのシギラビーチは、ウミガメの産卵地でもあるようです。調べた限り、宮古島では産卵観光ツアーなどはないようですが、産卵シーズンであれば運が良ければ産卵やふ化が見られるかもしれませんね。

また、産卵のためにウミガメが集まってくると考えると、産卵シーズンであればより高確率でウミガメに出会えるかも。

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ウミガメに出会えるポイント②渡嘉志久ビーチ(沖縄県渡嘉敷島)

渡嘉敷島は慶良間諸島の中でも最も大きい島であり、沖縄からフェリーで40分ほどあれば行くことが出来ます。その渡嘉敷島の中央部にあるのが「渡嘉志久ビーチ」。魚影の濃い遠浅のサンゴ礁が広がり、慶良間ブルーともいわれるほど透明度バッチリな海は、海外からもダイバーが来るほどの人気ぶりです。

また、湾のようになっており風の影響を受けにくく、初心者でも安心して潜れるところも魅力的です。

湾内には数頭のウミガメが住み着いており、高確率でウミガメに出会うことができます。シュノーケリングでウミガメに出会えたのは、自分の身長1.5mほどの浅い水深の砂地でした。ウミガメの後姿を発見して、写真を撮るために側面へ回り込むと、なんとお腹にコバンザメがくっついていました。

ウミガメもコバンザメも見ることのできた一石二鳥な体験でした。他にも、ネムリブカ(ホワイトチップ)に出会えたり、ホエールソングが聞けたりとウミガメ以外の生き物に溢れているのも渡嘉志久ビーチのおすすめポイントです。沖縄はありきたりだし、ウミガメ以外も楽しみたいという欲張りなあなたにピッタリですよ!

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ウミガメに出会えるポイント③川奈ビーチ(静岡県伊東市)

 こちらは先に紹介したポイントが全て沖縄であったのに対し、本州にあり都心から電車で約2時間半で行けるポイントです!川奈はダイビングで有名なスポットですが、ウミガメのいるポイントの水深は浅くて3~4mと初心者でも気軽に見に行くことが出来ますよ。

また、このポイントには数頭のウミガメが住み着いているため、ウミガメダイブを宣伝しているダイビングショップの案愛があれば、ほぼ確実にウミガメを見られるんです。また、ウミガメには愛称が付けられているため、ペットのようにより身近に感じられ、可愛さも倍増しますね。

ウミガメの最新情報のまとめ

ここまでウミガメの情報を盛りだくさんお伝えしてきました。あの、のんびりした優雅な佇まいの陰には、幾度もの死線を乗り越えてきた強かさがあると思うと、ウミガメを見る目が変わってきませんか?

ウミガメについて、知らないよりは知っている方がより深く面白く彼らを見ることが出来るので、興味を持った方はこの記事も参考にウミガメたちに会いに行って下さいね!

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