初心者のためのシュノーケリング講座。道具の使い方も徹底解説

シュノーケリングとは

水面から手軽に水中世界を楽しめるシュノーケリングは「シュノーケル」や「スノーケル」とも呼ばれています。

ダイビングとは違って、重い器材を背負う必要はなく、特にライセンスを取得する必要もありません。マスク・シュノーケル・フィンの「3点セット」があればそれ以上の費用がかかることもなく、手軽に行うことができます。

また、ダイビングでは気を付けなければならない「減圧症」の心配もありません。小学生から高齢の方まで行うことができるマリンレジャーと言えるでしょう。

1.どうやって遊ぶの

シュノーケリングで必要な道具は、マスク・シュノーケル・フィンの3つです。これをまとめて「3点セット」と呼んでいます。3点セットはダイビングショップでも販売されていますし、もっと手軽なものならば、釣り具屋さんやスーパーに売られている場合もあります。年に1~2回程度楽しむだけならレンタルでも十分だと思います。

口にシュノーケルを加え、マスクを着け、フィンを履き、うつぶせの状態で海に浮きます。その状態でフィンを使って泳いで水中世界を楽しむことが、この遊びの1番のおもしろさです。

「ゴーグルだけつけて普通に泳げばいいのでは」と言われる方もいるかもしれません。しかし、ゴーグルに比べるとマスクでの視界はとても広くなりますし、シュノーケルを利用することで、息継ぎのたびに顔を水面にあげる必要もありません。ずっと水中を見ていられるのです。

また、フィンを履くことにより、簡単に水面を速く移動できます。泳ぐスピードの違いに驚かれるかもしれません。実際に自分の目で見る水中世界はとてもきれいで神秘的です。海底でゆらゆら揺れる太陽の光や、小魚の群れにきっと心が躍ることでしょう。

2.手軽な遊びであっても、相手は自然です

何の資格もなく、3点セットがあれば手軽にできる海遊びがシュノーケルです。ですが勘違いをしないでほしいのです。相手は自然です。1つ間違えば命にかかわる重大な事故が起こります。そこは肝に銘じてください。足が海底に付く浅瀬であっても、死亡事故は起きています。

浅瀬だからといって、子供だけでシュノーケルで遊ばせて、大人が付くことせず、ビーチでビールを飲んでいるというのはNGです。事故を防ぐような監視や管理は絶対に必要です。

3.よく起こる事故

①離岸流

リップ・カレントとも言われるもので、海岸の波打ち際から沖に向かってできる流れのことを指します。海底の地形や水深の違い等で離岸流の速さや強さは変化します。その流れに乗ってしまうと、短時間で沖に流されてしまい、自力では岸に戻れなくなることもある危険な流れなのです。

シュノールに限らず、一般の海水浴客の方もこの流れに乗ってしまうことがあります。沖に流されると、戻ろうとして慌てて全力で岸に向かって泳ぎますが、泳いでも泳いでも岸から遠ざかることが多く、そのままパニックを起こしたり、体力が消耗したりして溺れてしまうことが多いのです。

離岸流に乗らないようにすることも大切です。もし乗ってしまってもそこから抜け出す方法もありますが、もし乗ってしまい、危ないと感じたときは大声で助けを呼ぶことが1番です。

離岸流の見つけ方や、離岸流からの脱出方法は、ネットで検索しても出てきますし、海のレジャー施設にはパンフレットなども用意されています。大きな事故にならないように1度は目を通されることをおすすめします。

②シュノーケルの扱い方

海には当然波が発生します。時としてシュノーケルに波がかぶり、中に水が入ってくることがあります。その時には吐く息を利用してシュノーケルの中の水を外に出すスキルが必要となります。

事故でよく起こるのが、このときシュノーケルに溜まった水を出すことができず、呼吸ができなくなり溺れるというものです。実際シュノーケルをしていて溺れ、救急車で搬送される方を毎年見かけます。水を飲んでしまいパニックを起こすことが多いということもお聞きしました。

水を外に出すスキルはもちろんですが、それ以外にも多くの問題があるように思います。息の吸い方もきっと間違っているでしょうし、そもそもその人に合ったシュノーケルを使用しているかどうかも問題となってきます。

最近では海が近い地域の学校で、地元のダイビングインストラクターが中心となり、子供たちに「正しいシュノーケルの使い方」を指導しているエリアもあるようです。シュノーケルの呼吸のスキルに関しては、専門のスタッフから学ばれたほうがいいと思っています。

③フィンを履いているときと仰向けになりづらい

通常、シュノーケルをしているときは水中を見ていますので、水面に浮いてうつぶせの状態になっているはずです。顔が水に浸かっている状態と言えばわかりやすいでしょうか。呼吸はシュノーケルを使って問題なくできていれば、快適に遊ぶことができているでしょう。

しかし、②でもお伝えしたように、もしシュノーケルに水が入り、呼吸ができなくなったときや、足に異常を感じて、海底に足を付けて立ち上がりたいようなことが時に起こります。陸上なら問題なく立ち上がることができますが、フィンを履いている状態では、意外に立ち上がることができないのです。

息ができなくなったら、顔を上げたらいい、そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですがそこは海です。顔を上げた瞬間に正面から波を受け、呼吸がうまくできなかったらどうでしょう。

さらにパニックとなり、無理やりにでも立ち上がろうとするのではないでしょうか。しかし、フィンが邪魔をしてしまうのです。つま先側に長いフィンですので、うつぶせの状態では立つことが困難となるのです。

ではどうしたらいいのか。それは「うつぶせでない状態になればOK」です。「つまり仰向けになればいい」のです。無理に立ち上がろうとせず、うつぶせの状態から横に回ればいいわけです。浮いている体ですので簡単に回転できます。

そうすることで顔は自動的に空の方を向きますし、この状態からは簡単に立ち上がることができます。実に簡単なことですが、パニックになっているときは、慌ててしまい、冷静な判断ができなくなってしまいがちです。

事故を防ぐためにも、一通りのシュノーケルのスキルは身に付けておいた方がいいでしょう。

4.シュノーケリング用品と選び方

①3点セットについて

  • マスク

マスクは大きさや形でいろいろな種類が売られています。レンタルの場合はあまり種類が多くないこともあるかもしれません。シュノーケルを趣味として続けられるなら、できれば自分に合ったものを購入されたほうがいいでしょう。

購入する場合でも、レンタルする場合でも言えることは、実際に顔に当ててみることです。大きすぎるとマスクに水が入ってきて、快適に遊べないだけでなく、視界が奪われてパニックになり、大きな事故につながる可能性があります。顔にぴったりとフィットするものを確実に選んでください。

それを確かめる方法としては、顔にマスクを当て、息を鼻から吸い込んで息を止めます。その状態で手を離してみて、顔から落ちなければフィットしていると考えていいでしょう。

女性用はやや小さめに作られているのが普通です。レンタルする際は、女性用があるか聞いてみることがいいでしょう。男性用だとやや大きすぎるように思います。子供用も同様です。

子供は大人に比べて水が入ったときに思わぬ行動を取り、溺れる原因となりますので、大人が責任をもってマスクを選んであげてください。

  • シュノーケル

購入の場合は実際にくわえてみることができませんが、レンタルの場合は実際にマウスピースをくわえてみて違和感が無いか確かめてみましょう。感覚的なものですが、くわえにくい等の抵抗があると、実際海に入った後に不安になったり、気持ち悪くなったりしますので、自分の口に合うか確かめてください。

マウスピースが大きいと顎が疲れてしまい、咥えているとだるくなってしまいます。小さすぎると唇でマウスピースを覆っても隙間ができ、そこから水がしょっちゅう入ってきます、シュノーケルクリアを何度も行うと苦しくなりますので、口に合ったものを選んでください。

また、肺活量が小さい方や女性、子供さんには、太くて長いシュノーケルはおすすめしません。シュノーケルに水が入ったときに息を吐き、水を外に出します。(シュノーケルクリア)

吐く息の量が少ないと、水が一回で外に出ず、何度も同じ動作を行わなければなりません。太くて長いシュノーケルならなおさらです。細め、短めのものを選ぶことをおすすめします。

最近のシュノーケルは、クリアするときに少量の空気で行えるように「排気弁」がついているものも増えています。それを選ばれるのも1つの方法です。

細かい点になりますが、もしレンタルの際、器材選びにゆとりがあれば、以下の点を確認できれば完璧です。

・マウスピースにひびが入っていないか

・マウスピースにカビがついていないか

・排気弁に砂が詰まっていないか

  • フィン

フィンには踵の部分のストラップでフィット感を調節する「ストラップ型」と、フィンがブーツのようになっていて、そのまま履くタイプの「フルフット型」があります。フルフット型なら裸足のままでフィンが履けるため、シュノーケルではおすすめです。

ストラップ型も裸足で着用可能ですが、ストラップが素足に当たるため靴擦れのようになるかもしれないのと、素足だとストラップがきちんと調節しにくいという難点があります。レンタルの場合は実際に履いてみてから借りるようにしてください。

購入される場合、フィンは材質や大きさ等、様々なものが販売されていますので、実際に触れてみて、履いてから購入してください。子供さんのフィンを購入される場合は足がすぐに成長すると思いますので、調整ができるストラップ型をおすすめします。

②その他の器材について

シュノーケリングは3点セットさえあれば楽しむことができますが、さらに快適に楽しむために、持っておくといい機材をお伝えします。

  • グローブ

海岸を移動する時や、水中でとっさに手をついたり、バランスを取るために岩をつかんだりする際にグローブがあると安全です。砂の中や岩場には生物が普通に住んでいます。生物は身を守るために棘があったり、毒を持っていたりすることもありますので、グローブの着用は手の保護にも有効です。

ただし、むやみやたらに水中生物に触れることはいけません。生物たちも命があり生きていることを忘れてはなりません。

  • マリンブーツ

海岸の移動時や、浅瀬での移動時にブーツがあると足の保護になります。裸足で水中を歩くと、石を踏んでケガをすることもよくあります。できればマリンブーツは履いた方がいいでしょう。またマリンブーツを着用することで、ストラップ型のフィンはよりフィットして、脱げにくくなります

  • ラッシュガード

日焼け対策と紫外線予防のため、ラッシュガードを着てシュノーケリングを楽しまれた方がいいのではないかと思います。最近、学校での水泳の授業でも着用は進んでいると聞きます。そうした点からも準備された方がいいでしょう。

専門店でなくても、スーパーでも販売されています。それで十分だと思います。

  • ライフベスト

体が沈まないように、浮力を確保するための道具です。着用してシュノーケリングをすることで安全に楽しめ、移動範囲を広げることができます。しかし、ライフベストにも弱点はありますので、そこは知っておいてほしい点です。

以上、シュノーケリングについてお伝えしました。手軽にできる海遊びですが、油断は禁物です。最新の注意を払って、安全に楽しまれてくださいね。

シュノーケリングを始めてみて、水中世界をもっと知りたい。海の中を自由に泳ぎたいと思った方には「ダイビング」もおすすめです。

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