関西ダイビングの聖地!多様な生物に会える!串本の魅力1

和歌山県の最南端にある串本町は、関西ダイビングの中心ともいえる場所です。毎年ビギナーからベテランまでの多くのダイバーがこの海に通います。また、関西だけではなく、名古屋方面からもアクセスしやすいので、名古屋近郊に住むダイバーも通って来られます。

以前は、京阪神からの高速道路の便が悪く、和歌山北部から延々と国道を通って串本まで行かねばならず、多くのダイバーが大変な思いをしていたと聞きました。

それが南紀田辺まで阪和道が伸び、さらに途中のトンネルが完成したことで、1車線区間が2車線になるなどして、渋滞がかなり緩和され、時間も短縮されました。

数年前には、周参見まで自動車道が開通し、さらに便利になりました。大阪市内から約3時間、神戸市から3時間半ほどで串本まで行くことができますので日帰りダイビングも十分可能です。移動のほとんどが高速道路上ですので、疲労度的にも楽になりました。

電車利用も串本駅にはJRの特急が止まります。新大阪始発のくろしお号を利用することで、関西圏から快適に来ることができるのです。

串本は大きく3つに分けられています。

  1. 潮岬の西側を中心に潜るパターン。通常、ダイバーはこのエリアを串本で潜ると呼んでいて、多くのダイビングショップが点在している地域です。
  2. 潮岬の東側の紀伊大島周辺を潜るパターン。ダイバーは須江で潜るという表現を使います。特に冬場に人気がある地域です。
  3. 橋杭岩をさらに三重方向に進むと、古座という集落があります。その沖を潜るパターン。ダイバーは、古座で潜るという表現を使います。

それぞれの地域で登場する生物や見られる風景、ダイビングスタイルの特徴などが変わってきます。串本ダイビング編では、エリアごと、テーマごと等に分けてお伝えすることにしています。

1回目の今回は、潮岬の西側を潜る串本エリアについてお伝えします。串本でよく利用されるポイントは割合近くに固まっています。そこで「ワイド」と「マクロ」という観点でまとめてみました。

1.串本で会いたい海の生き物(ワイド系)

黒潮がどこを流れているかによって、透明度が大きく変わってきますが、透明度がいいときは真っ青な海となり、ワイド写真には最高の条件となります。

串本で見られるワイド系の生き物①アザハタ

最も好きなワイドポイントは「住崎」のアザハタポイントです。

おびただしい数のイシモチ類が群れる中、数匹のアザハタが堂々と蹴散らしていく姿はかっこいいと思うでしょうし、写真的にもいい感じです。この時はタイミングが良かったのですが、ガイドに言わせると、これでもイシモチが減ったとのことでした。最盛期にはどれほどいたのかが想像できます。

アザハタは根の周辺を泳ぎまわることもします。青い海をバックにアザハタを見るのもまた違った風景に見えます。

串本で見られるワイド系の生き物②イシモチ

様々な表情を見せるこのポイントは、ワイド好きの方にはおすすめです。アザハタメインではなく、刻々と群れの形を変えていくイシモチを眺めるのも面白いと思います。

子供の頃に学校で勉強した「スイミー」の世界がそのままリアルに体験できます。群れ全体が1つの生き物のように動き、捕食者がやってくると、音をたてて動く様子は迫力があります。

串本で見られるワイド系の生き物③カゴカキダイ

阪神カラーの「カゴカキダイ」もとてもきれいな魚です。

青い海に黄色のボディはよく目立ち、また比較的群れの動きがゆっくりしているので、写真にも撮りやすく、ぜひお持ちのカメラでチャレンジしてほしいです。串本のいくつかのポイントで見られますので、見つけたら追いかけまわさずに、ゆっくり近寄ってみてください。

串本で見られるワイド系の生き物④キンギョハナダイ

キンギョハナダイも数多く見られる魚です。近場のポイントでも見られますが、外洋のポイント「ヨリコバ」等に行くと、さらに多くの群れに遭遇します。
オレンジのボディはそれだけでもとてもきれいですので、周囲のサンゴやソフトコーラルと一緒に写してみると、よりきれいな写真が撮れるはずです。

串本で見られるワイド系の生き物⑤ミノカサゴ

ミノカサゴも多くのポイントで見られます。ヒレを広げるととてもきれいですので、ストロボを使ったり、時にシルエットにしてみたりして、写真で遊んでみてはいかがでしょうか。

透明度がいい時は最高ですが、よくないときでも色々な撮り方があります。魚の豊かな色彩をストロボで浮き上がらせることもきれいですが、海の青さを最大限活かし、シルエットで撮影してみるのも、また違った世界を写すことができると思います。

2.串本で会いたい海の生き物(マクロ編)

串本エリアでは、実に多くの海の生き物を見ることができます。色が綺麗、形が面白い、超珍しい等の生物が、小さいもので1cm単位のものから生息しています。

そこでマクロ編では、串本で見てほしい生物をお伝えします。

串本で見られるマクロ系の生き物①サクラコシオリエビ

毛むくじゃらのこの生物は「サクラコシオリエビ」です。初めて登場したときは何かと話題になりました。ピンク色のもじゃもじゃしている容姿がなんともかわいくて、ユニークです。

バックに見えているピンク色のカイメンに住んでいて、普段はそのデコボコした部分に隠れるようにしています。見つけるのはかなり苦労しますので、ガイドさんにお願いして見せてもらうことがいいでしょう。

串本で見られるマクロ系の生き物②カエルアンコウ

カエルアンコウの仲間たちも串本ではよく見られます。写真のようにきれいなオレンジ色のカエルアンコウが見られるときもあれば、真っ白の体の個体が出てくることもあります。

体を安定させるために、ヒレをまるで手のように使い、時に海藻をつかんでふんばっているようにも見える仕草は愛嬌があります。

また「ブサカワ系」の表情もダイバーに人気がある理由です。泳ぎや移動もゆっくりしていますので、観察もじっくりできます。癒されることは間違いありません。

串本で見られるマクロ系の生き物③フリソデエビ

これもダイバーに人気のフリソデエビです。まだ幼体で、透き通るような体がとてもきれいでした。すぐ近くに餌となるヒトデもありましたので、ここが住処だったのかもしれません。

ジッとしているときは、そのまま脅かさないようにするとそのままでいてくれることが多く、ゆっくり観察でき、写真ものんびり写せます。
しかし、いったん動き出すと、なかなか落ち着かなくなり、狭いところに隠れようと逃げ回ります。こうなると、ゆっくり見ることができません。できるだけそっとしておくようにしましょう。

ここまできれいなフリソデエビは見たことがありませんでした。できることなら、もう1度会ってみたいと今でも思います。

串本で見られるマクロ系の生き物④ボロカサゴ

超が付くほど、めったに見ることができない珍しい魚のボロカサゴです。湾内のポイントでも見られることはもちろんありますが、この写真は外洋で登場したときのものです。「ヨリコバ」というポイントで見せてもらったのですが、大興奮でシャッターを押しまくったのを覚えています。

色もきれいで見た目も派手ですので、見て楽しめ、写真に撮って楽しめる最高の魚ですが、この時さらに驚かされたのは、同時にもう1匹登場したからです。おそらくはペアで繁殖目当てだったのかもしれません。色も紫で、それはそれは凄い光景でした。

長くダイビングを続けていますが、忘れられない1本になったことは言うまでもありません。さて、特別珍しい生物ではなくても、フォトジェニックな被写体やシチュエーションもたくさんあるのが串本の魅力に上げられます。

串本で見られるマクロ系の生き物⑤ムチカラマツエビ

下の写真の「ムチカラマツエビ」はいわゆる普通種で、多くのダイビングポイントで見かけますが、串本にはらせん状になっているこのエビが住んでいるポイントがあります。

まさにグルグルの中にエビがいて、ちょっと面白いシチュエーションです。エビがいつもいいポジションにいてくれるとは限りませんので、これも運次第ですが、エビの位置によっては、異次元空間にエビがいるような写真が撮れますので、ぜひ試してみてほしいです。

串本で見られるマクロ系の生き物⑥カミソリウオ

あるとき、同時期にグリーンなペアが2組同時に出たこともありました。その辺りが藻場であったことから、生物が保護色になったのでしょうが、すぐそばに2組のグリーンなペアが出たことで、多くのダイバーがここに集結したのです。

まずは、カミソリウオのペアです。細くてペラペラした感じの魚で、一見すると「これが魚か?」と思ってしまうでしょう。ゴミか葉っぱのように、波に体を任せてゆらゆらしているので、見逃してしまいがちのユニークな魚です。

写真で見ると、目がどこにあるかもわかりますが、実際この環境下で、この魚が浮いていても、正直気づきにくいと思います。ペアでくっついたり離れたりを繰り返しながら、上手に環境を生かして擬態して生きているのです。

串本で見られるマクロ系の生き物⑦ニシキフウライウオ

もう1つのペアは「ニシキフウライウオ」です。

カミソリウオ同様に、頭を下にして逆立ち泳ぎをしているようにして移動します。カミソリウオよりはわかりやすいですが、藻の間に隠れるようにしていますので、見つけにくいことには変わりありません。

ペアでくっついたり離れたりを繰り返し、やはりふわふわと漂っています。この魚は尾びれがとてもきれいですので、そのタイミングで見たり写真を撮ったりしてほしいです。

串本で見られるマクロ系の生き物⑧オオウミシダトウマククリムシ

最後に好きな生物、「オオウミシダトウマククリムシ」をご紹介します。

ウミシダにこうして引っ付いている貝の仲間です。とても貝殻がきれいで、何枚も写真を撮りました。

後から教えてもらったのですが、私がきれいだと思っていた貝殻の色は、実は住んでいるウミシダの色が透けて、貝殻がこの色に見えただけとのことでした。

つまり、元々の貝殻は透明に近いということです。これにはかなり驚きました。他のウミシダに付いているものも見てみたいとは思いますが、意外にもなかなか会えずにいます。不思議な生物は実にたくさんいるものです。

串本ダイビングの魅力1のまとめ

串本のダイビングその①として、ダイバーが「串本エリア」と呼んでいる場所のダイビングをお伝えしました。

1回の記事ではなかなか全部はお伝え出来ません。ワイドでは、時期は決まっていますが、毎年「アオリイカの産卵」も行われていますし、時には「カンパチ」等の回遊魚も登場します。

さらにウミガメが登場するときもあるのです。この海のポテンシャルは計り知れません。マクロも最近では「シコンハタタテダイ」も登場して話題にもなりました。台風にも耐えて、この記事作成段階ではまだ見られているようです。

次回は「須江エリア」と「古座エリア」の2つをお伝えしますので、楽しみにしていてください。

関西ダイビングの聖地!多様な生物に会える!串本の魅力2

関西ダイビングの聖地!多様な生物に会える!串本の魅力2 前回の①では、潮岬の西側エリアでのダイビングについてお伝えしましたが、今回の②では、潮岬の東側にある2つのエリアでのダイビングについてお伝えします。 [sitecard sub[…]

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