伊豆半島で一番の地形ダイビングが楽しめる雲見
西伊豆の最南端にある雲見は、ダイバーにも人気ですが、バイクでツーリングに行く人にも人気です。大型の魚が釣れることから釣り人にも人気で、ボートで沖磯に連れていってもらい、釣りをしている人の姿も多く見られます。
ライブカメラで見てもわかりますが、沖合に富士山が見えるように観光スポットとしても知られています。雲見がある松崎町では、「世界でいちばん富士山がきれに見える町」と宣言を出しているほどです。
東京方面からの距離が遠いこともあり、海は良いけれどもアクセスに時間がかかることから、なかなか雲見は気軽に潜ることが難しいものとされていました。
しかし、最近は伊豆縦貫道や天城北道路が整備されて、東京ICから約3時間で行けるようになり、雲見へのアクセスが飛躍的に向上しました。また、2020年度には新東名高速道路が全線開通すると、さらに気楽に雲見に潜りにいけるようになります。
雲見というと、ダイバーの間では、伊豆で最も地形ダイビングが楽しめる、と評判になっているダイビングポイントで、洞窟の中から見る青い海が幻想的なことで知られています。この記事では、次の3点をご紹介します。
①雲見が人気になっている理由5選
②潜ってみたいダイビングポイントの紹介
③アフターダイビングのグルメ
1.西伊豆の雲見が人気になっている理由【5選】
昔から雲見で潜っているダイバーに雲見の魅力を聞いたり、ネットでの口コミを見ると、ほぼ全ての人が洞窟や穴などの、地形ダイビングが雲見のいいところだと答える人が多いものです。確かに雲見が伊豆でNo.1の地形ポイントであることは否定しませんが、雲見の海は地形以外にも多くの魅力があることが発見されていて、何回雲見で潜っても飽きることはありません。
雲見が人気になっている理由をまとめると、次の5つにまとめられます。
- 伊豆1の地形ダイビングと幻想的景色
- 視界を埋め尽くすほどの魚影
- 頻繁に見られる巨大魚
- 南国リゾートのような透明度や魚種
- 知る人ぞ知るウミウシの宝庫
雲見が人気の理由①伊豆半島No.1の地形ダイビングと幻想的景色
雲見の魅力の第一は、やはり伊豆随一と言われている地形ダイビングであることは否定することできません。他のポイントにも、ホールだとか洞窟に入ることができるところはありますが、雲見には1つだけ洞窟があるのではなく、少なくとも10箇所以上の洞窟やホールがあります。
大きさや長さも多種多様で、完全に真っ暗になるような洞窟から、上から光が差してくるホール、上が開いていて水路になっているクレバスまで、バリエーションが豊富です。
洞窟の中に入っていくことによるドキドキ感がありますし、行き止まりの洞窟に入ったあとに後ろを振り返ると、暗いところから見る青い海がとても幻想的です。
雲見で地形ダイビングをするときには、しっかりと地形を把握している必要があるので、水中ガイドをつけて潜るのが必須です。水中ガイドについていくと安心感がありますが、ガイドによっては洞窟の入り口でゲストに先頭で進むように指示することがあります。先頭で洞窟に入るドキドキ感や興奮を味わってみてください。
雲見が人気の理由②視界を埋め尽くすほどの魚影
雲見の海は、小さな魚の群れが集まることでも人気があります。岩が重なり合ってできる岩の上には青いソラスズメダイやオレンジ色のキンギョハナダイが群れていて、流れが当たっている面にはイサキやタカベが大きな群れを作ります。
そして、穴の中にはネンブツダイやツマグロハタンポ、キンメモドキなどがぎっしりと詰まっています。季節によって群れのサイズが変わりますが、キンメモドキは高い密度で群れを作っているため、その中に入ると視界全てがキンメモドキになるほどです。
雲見が人気の理由③頻繁に見られる巨大魚
雲見で見られる大型の魚を3つ上げると、代表的な魚は以下の3つです。
・クエ
・テングダイ
・コブダイ
雲見は他の伊豆のポイントよりも魚の数が多いですが、サイズも他より大きい特徴があります。クエも他のポイントでは大きくても80cm程度なことが多いですが、雲見では1m超えの個体を見ることがあります。
雲見が人気の理由④南国リゾートのような透明度や魚種
雲見のメインポイントの牛着岩は、岩が折り重なってできたポイントなので、浅場から深場まで楽しむことができます。岩の上の浅場では、ソフトコーラルが密集していて、キンギョハナダイやソラスズメダイが群れていると、ピンクや青やオレンジなどの色とりどりの風景になります。水深が浅いことから光がよく入るため、南国リゾートのような景観になります。
また、雲見は暖流黒潮の影響を強く受けるポイントのため、黒潮に乗ってやってきた南方系の生物が流れ着きます。イソギンチャクを住処にするクマノミやミツボシクロスズメダイは秋になると多くなり、アジの仲間でも南方系のギンガメアジやクロヒラアジといった普段伊豆では見られない種類も登場します。
雲見が人気の理由⑤知る人ぞ知るウミウシの宝庫
雲見では、穴の中に入ったり、群れや大きな魚を見るような、ワイドな視界で潜ることが一般的でしたが、最近では小さな生物(マクロ生物)が、次から次に発見されるようになりました。ダイバーの間で人気のカエルアンコウの仲間の他に、多くの種類のウミウシが見られています。
西伊豆でウミウシというと浮島(読み方は「ふとう」)が有名ですが、雲見も浮島に負けないほどの種類や数のウミウシを見ることができます。特に春から夏の時期には、牛着岩の「大牛の穴」や「クレバス」の周辺に多くのウミウシが集まり、壁に張り付いてウミウシを探すダイバーも多くなり、ウミウシを探すならば雲見と呼ばれるようにもなってきました。
2.潜ってみたい雲見のダイビングポイント【3選】
雲見のダイビング休憩施設のすぐ横には、海水浴場があり、そこではスキンダイビングやシュノーケリング、それに体験ダイビングを行うことができます。しかし、雲見でスキューバダイビングというと、ボートダイビングが一般的です。
雲見のボートダイビングのポイントは数多くありますが、その中でも特に人気が高くて、潜ってもらいたいポイントを3つあげて、各ポイントの紹介をしていきます。
雲見のダイビングスポット①定番のメインポイント「牛着岩」
雲見で潜るとしたら、必ずといってよいほど潜ることになるのが牛着岩(読み方は、うすづきいわ)です。港から沖に向かって見える2つに別れた岩の周り全体がダイビングポイントになっていて、ボートでわずか2分で到着するという近さのポイントです。
それなのに、地形はもちろん、魚影や大物、ソフトコーラル、それにマクロ生物まで全て一級品が揃うスーパーポイントなのです。ボートでポイントに向かうときには、晴れた日には真正面に富士山が見えて、否が応でも気分が盛り上がります。
上の水中マップを見てもらってもわかるように、黄色く示された穴やアーチが10箇所以上あります。2つの岩、大牛(読み方は「おおうす」)と小牛(読み方は「こうす」)の間は、水路になっていて、その水路は上が空いているクレバスだったり、上が塞がったトンネルになっているところもあります(三角穴と呼ばれる、ひと1人が通りつけられる縦穴は台風で塞がってしまい、現在は通行不能)。
その全ての穴を1ダイブで潜ることは不可能ですし、牛着岩だけで3本潜っても、全てのエリアを潜りきることができないほどの広さがあります。
牛着岩のエリアを大きく分けると、島前(南側)と島裏(北側)と水路の3つに分かれます。島前は、流れが弱く、雲見らしくなくアーチやトンネルのない穏やかな海況になることが多いので、初心者でも安心して潜れるエリアです。
しかし、夏から秋にはスズメダイやイサキが群れを作り、フリソデエビなどのレア生物が多く見られるのは島前です。島裏や水路はウネリに弱いですが、島前はウネリに強い特徴もあります。
島裏は、流れが当たりやすかったり、アーチやトンネルといった水深の変化が大きいエリアなので、ある程度のダイビング技術と経験があった方が楽しめることは間違いありません。
流れがあるときには、イサキやタカベが川のように流れていたり、クエやテングダイといった大きな魚を高確率に見ることができます。また、雲見らしい地形ダイビングをしたければ島裏が理想的です。
大牛と小牛の間の水路の中のトンネルには、キンメモドキやツマグロハタンポが視界を埋めつくすように群れています。暗いところから見る青い海がきれいで、水路の中は水深差があるけれども、流れがほとんどないことほとんどです。島前や島裏や水路は別々に潜るのではなく、例えば島裏でエントリーして、水路を通って、島前でエキジットすることもあります。
雲見のダイビングスポット②ひたすら地形のコリンズ(三競)
雲見だったらやはり地形ダイビングを満喫したいと思う人には、ひたすら穴だらけのコリンズポイント(または三競)。サービスによって呼び名が違いますが、同じポイントです!ボートでわずか3分ほどで牛着岩のすぐ東側のポイントになります。
最大水深15mと浅いけれど、4つの穴があり、行き止まりの穴だったり、一周できる穴だったり、内部で浮上できる穴だったりと、バラエティに富んだ穴があります。水深が浅いので、3本目に潜るのに最適な上、太陽が西に傾いていたほうが穴の内部に光が入ってきやすいので、午後に潜るのがオススメです。
雲見のダイビングスポット③大物や群れ狙いの沖の根
メインポイントの牛着岩も魚影が濃いのが特徴ですが、それを上回るのが外洋ポイントの「沖の根」です。雲見港から約10分で到着する沖の根は、潮が当たりやすいので流れが強いことが多く、時には流れに向かって泳ぐことが難しいほど流れます。流れが強くなると、魚の密度がギュッと高まります。サイズが大きいイサキやタカベが、先が見えないほど群れるポイントはなかなか他にはありません。
夏から秋には、何十枚ものトビエイの群れが見られることもあるので、ベテランダイバーの方で雲見の違う潜り方を体験したい人は、狙ってみてください。
3.雲見で潜った後のグルメ
やはり伊豆に来たからには、海の中で魚を見るだけじゃなくて、食べていきたいものです。雲見で潜った帰りに寄っていきたい定食屋さんといったら、やはり松崎町にある「さくら」です。この地域の人気店で、ガイドブックやテレビにもちょくちょく取り上げられることがありますが、ここのボリュームと新鮮な魚介類が、リーズナブルな値段で食べられるところは他にはありません。
食事メニューを注文するとセルフサービスで、ところてんが食べ放題になります。以前は「糸切り」「サイコロ」「コーヒー」「抹茶」「よもぎ」の5種類のところてんが食べ放題でしたが、近年の天草不漁の影響からか、最近では「糸切り」と「サイコロ」の2種類のところてんになっています。お好みで酢醤油か黒蜜きなこでご賞味ください。
オススメのメニューは、なんといっても「アジのまごちゃ定食」、通称「あじまご」です。小さなどんぶりにたっぷりはいったアジのたたきをメインに、たまねぎメインのかきあげと明日葉またはモロヘイヤの天ぷら、そしてサラダと小鉢がつきます。ご飯は1合炊きの釜に入っています。初めて「あじまご」を食べる人は、店員さんが食べ方を教えてくれますが、基本は次のように食べます。
- お釜のご飯を半分茶碗によそい、にんにく醤油で味をつけたアジのたたきをご飯の上に載せて、アジ丼として食べる。
- 残りのご飯とアジを茶碗によそったら、店員さんを呼んで、スープをかけて「まご茶」にしてもらう。
- 店員さんがスープをかけてきてくれたら、味が薄いと思うので、にんにく醤油を足して、付属のれんげで食べる。
基本は上のように食べますが、来店2回め以降は、アジ丼とまご茶を6:4にするとか、気に入った方を多くするのもありです。
「さくら」は、注文を受けてからご飯を釜で炊くので、回転が悪いところがたまにきずです。また、「アジのまごちゃ定食」がないことはほとんどありませんが(過去に1度だけありました)、他の定食類はメニューに載っていても品切れになっていることが多いので、メニューから選ぶときには候補をいくつか決めておくようにしましょう。レジ横に本日のおすすめメニューがあるので、そちらから選ぶことをおすすめします。
どうしても、混雑していて「さくら」に入ることができないときで、新鮮な魚介類をリーズナブルな値段で食べたいというときには、同じく松崎町にある回転寿司「ととや」か、安良里まで戻って「よこ田」にいってもよいと思います。
西伊豆の雲見ダイビングまとめ
多くのダイバーが、伊豆で好きなポイント第一位にあげることも多い雲見の紹介になります。道路事情がよくなったこともあって、雲見に潜りにいきやすくなっていますが、地形にアップダウンが多いので、中性浮力の維持が重要だったり、流れが当たることも多いので、本当の雲見を楽しむのであれば、ダイビング経験とスキルアップが重要です。
自由自在に潜れるようになるには、ブランクが空いてしまうことが一番の敵ですので、東京方面から日帰りでもラクラク潜ることができる伊豆で、ブランクが空かないようにコンスタントに潜りにいくように心がけてください。
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